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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第十四回】雨上がり

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バシャーーーーーーーーーーー
悠助に布を引っ張られた矜羯羅が水の壁に頭から突っ込んだ
「ギャー!!; 引っこ抜け引っこ抜け!!!死ぬ死ぬ!!;」
中島があわてて矜羯羅の服を引っ張る
胸から上がびしょぬれた矜羯羅
「…悠助…」
「だめだよっこんちゃんッ!! だめッ!!」
水の滴る前髪を書き上げた矜羯羅に悠助が抱きつく
「どっかいっちゃだめだよッ!! これからみんなで晩御飯なんだよ? 慧光もゼンゴも柴田さんもいなくてそれなのにこんちゃんまでいなくなったらだめだよッ!!」
悠助の言葉に矜羯羅がゆっくりと悠助を抱きしめた
「…そうだね…でも誰かが迎えに、いかないといけないんだよ…だから僕が行くんだよ」
「だったら僕も行くよっ! 二人でいけばいいんだよ」
「それは駄目なんだよ悠助」
「なんでっ!!!?」
悠助が声を上げる
「なんで駄目なの!? なんで? なんでっ」
「…うすけ…」
制多迦が悠助を撫でた後抱き上げる
「なんでだめなの…僕みんなでご飯…食べたいだけなのに…」
悠助の目から涙がこぼれた


バチバチという音
赤い水溜りがところどころにできている
「…ほら…弱い」
クスっと笑みを浮かべた口元
その手にはゴの金色の角が握られていた
「ゴ…」
ぐっと地面をつかんでゼンが体を起こしよろよろと立ち上がる
「ゴを離すんだやな…」
「まだ僕様に命令する元気があるんだ」
さっきの少年の姿から少し成長した姿になった帝羅がゴの体をブンっと放り投げた
「ゴ!!」
駆け出そうとしたゼンがガクンと膝を付く
もはや駆け出す力も残っていないらしくそのまま手を地面に付いた
「弱いくせに、ねぇ? 清浄」
微笑を浮かべたまま振り向いた帝羅の白い布が風になびく
慧光に抱きかかえられた清浄が血の垂れた唇をかみ締め帝羅を睨んだ
「っ…ごめんナリ清浄…ッ…私をかばったから…ッ」
慧光が泣きながら手をかざそうとすると清浄がその手をつかんだ
「慧光今ここで力は使うな…俺なんかのために」
「でもッ!! でも清浄がっ…」
ぼろぼろと零れる慧光の涙が清浄に落ちる
横腹に滲んできた赤い血が服に染みを作った
フッと影ができて慧光が顔を上げる
「僕様の邪魔をした…三回目だね清浄」
「帝…」
慧光が口を開こうとした瞬間突き飛ばされた
まだ頭の整理が付いていない慧光の目に映ったのは帝羅が高く掲げた腕
そして