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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第十四回】雨上がり

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「帽子被っていきなさいよ? 日射病になるから」
「あー…」
壁にかかっている帽子の中から少しつばの広い麦わら帽子に手がかかる
「っつたく…面倒くせぇ…」
ため息をつきながら麦わら帽子を持った操が柴野ストアーと印字されたタオルを中にかぶるとその上から麦わら帽子を被った
ラジオ体操から帰ってくるなり海に行くといい家を飛び出した京助をちょっと見てこいという母ハルミの半強制的なお願いをしぶしぶ聞き入れた操
「なんつーか…いつから俺は京助の保護者になったんだろな」
サンダルを履いてだらだらと歩き出す
北海道の短い夏の空は青く雲は白い
耳につくセミの声と縁側に吊るされた風鈴の音
なんとなく操が足を止めて家の方を振り返る
「……」
浜風が操の髪を撫でていった




閃光が辺りを包んだ
何か叫んでいる三馬鹿の声はかきけされ
地響きが体を襲った
摩訶不思議服の面々によって柔げられているのかもしれないのかもしれないがかなりの振動が伝わってくる
キィキィと室内灯が揺れる音が聞こえ始め三馬鹿が顔をあげた
制多迦の背中と迦楼羅の背中の間から矜羯羅と乾闥婆が見えた
その向こうには窓
「な…ん…」
中島が一言
「…いじょうぶ?」
制多迦が振り返り聞くと南が頷いた
「清浄の結界か…間一髪といったところか…」
迦楼羅がふうっと息を吐き窓を見る
霧状になっている雨で窓の向こうは何も見えない
「そうでもないよ…」
矜羯羅が窓に向かって手を伸ばした
「ここは結界の中に…入っていません…」
乾闥婆が唇を噛み締める
「え…それって…」
霧状の雨が晴れるとざぁざあと降る雨の音が聞こえ始め窓の向こうにはいつもとからない風景
人の姿は見えない