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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第十四回】雨上がり

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「京助!!」

痛みはなかった

でも世界がぐるんと回って

空が見えた

ぎゆっと体を抱き締められて

ドン

という衝撃が少しだけ伝わった

「操君!!」
「お兄ちゃん!!」

2人の声が重なって聞こえた

優しい臭い

「み…」

白いタオルがふわっと頬に触れた

ドボン

鼻と口からしょっぱい水が入ってきた
がぼがぼと空気を吐き出した京助から離れていくぬくもり
手を伸ばした
ゆらゆらと揺れる視界で見たのは伸ばされた手といつもの笑顔
吐き出される空気とともにゆっくりと声なく動いた口

『きょうすけ』

ザブンと水面に引き上げられた
「京助!! 大丈夫か!?」
父親である竜之助の声がした
カモメの声が聞こえた
車の音も
みんなの声も
唯一聞こえなかったのは
「み…」
海面にゆらゆらと揺れながら浮かぶ白いタオルを見つけた
「操ちゃ…操ちゃんッ!!」
「京助!!」
じたばたと手足を動かして操の名前を叫ぶ京助を竜が抱え直す
「とーさん!! 操ちゃんがみ…っ…!!」
京助の動きが止まった
竜之助の手が濡れた京助の頭を撫でる
簡易港の斜面に集まる人垣
その真ん中には悠助をおんぶ紐で背中に背負った母ハルミ
そして母ハルミの腕の中には麦わら帽子を被った