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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第十四回】雨上がり

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「三度目…」
白い布の人物がつぶやく
「あの時もお前が邪魔しなきゃ竜が…」
ぎりっと白い布の人物が歯を噛み締めた
「お前がぁっ!!」
足元から更に黒いものが生まれゼンゴや清浄達に向かってくる
「ガンモ! ハンペン!!」
清浄の声と同時に2つの巻物から光が飛び出した
2つの光が布を織るように走りみるみる光の壁を築き上げるた
「おぉ」
ゼンゴがその壁を見て拍手をする
「邪魔をするなぁっ!!」

ズガガガガガガッ!!

黒いものが光りの壁に激しくぶつかった


ぎゅっと光る宝珠を握った緊那羅がゆっくりと体を起こした
「…緊那羅…?」
阿修羅が声をかけると緊那羅が顔をあげる
「阿修羅…」
「…大丈夫け?」
「うん…」
緊那羅を上から下まで見た阿修羅が聞くと緊那羅が頷く
「京助…!!」
はっとして京助を見た緊那羅が京助の顔を見る
相変わらず微動だにしない京助を見て緊那羅の眉が下がった
「私…どうしたらいいんだっちゃ…?」
阿修羅の方をみず緊那羅が阿修羅に聞いた
竜の宝珠は緊那羅の手の中で光り続けている
「どうしたら…京助…」
阿修羅からは何も返ってこない
緊那羅が京助の手に竜の宝珠を握らせその手を緊那羅が両手で包んだ
しかし京助には何も変化はなかった
「京助…っ…」
緊那羅が京助を呼ぶ
「晩飯…できてるみたいだっちゃよ? 早く起きないと…おき…っ…起きて…起きて京助…っ」
京助の顔に近づいて緊那羅が話しかける
やはり京助は動かない
「…駄目…だったんかの…」
阿修羅がボソッと言ったのが聞こえたのか京助の手を包む緊那羅の手に力がこもった
「京助…目ぇ…開けて…ぇ…」
絞り出すような声で緊那羅が言う
「何か…京助が目覚めるきっかけがないもんかの…」
「…目覚める…きっかけ…」
緊那羅がふと何かを思い出し再び京助の顔を見た
そしてきゅって唇を噛み締めるとちらっと阿修羅を見た
「…どうした緊那羅?」
「あ…の…ちょっと…やってみたいことあるんだっちゃけど…えっと…その…」
もごもごとうつむきながら言う緊那羅に阿修羅が首をかしげる
「前に…京助がやったらヒマ子さんが目を覚ましたんだっちゃだからもしかしたらっ…て」
「向日葵の姐さんが? …そりゃ試してみる価値はあるの…やってみ?」
阿修羅が言うと緊那羅がちらっと阿修羅を見てまた俯いた
「やらんのけ? 何か用意するもんあるん?」
「や…その…向こう…向いててほしいんだっちゃ」
「あ…ああ…いいけども…」
阿修羅が緊那羅に背中を向けた
阿修羅の背中を見た緊那羅が大きく息をはいてそして京助を見て京助の手を握りしめる
緊那羅が背を丸めて京助に身を寄せ京助の顔に顔を近づけた
「…京助」
緊那羅の髪がパラパラと垂れ京助の顔にカーテンのように掛かる
外の雨は幾分か小降りになってきていた