小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

RED+DATE+BOOK03

INDEX|8ページ/14ページ|

次のページ前のページ
 

「ハァ・・・ハッ・・・。」

頭が痛い。

思い浮かぶ映像は自分と彼。

大切な思い出。

もう取り戻せない思い出。

これからなんて望むことの出来ないもの。

「けい、俺すっげー悲しいんだけど。どうしよう?またあの頃に戻っちゃったらどうしよう?」

『お前が戻りたくないって思ったらそうはならねーだろ。』

「本当かな?だけど翔はもういないんだ。俺、翔の事考えても泣けないんだ。」

『それはお前がビービー泣いたら五月蝿ぇからだろ。』

「・・・俺ビービーなんて泣かねぇし。」

『いや、泣くな。てか泣いてんだろ?』

「だから泣いてねぇし。」

『聞こえんだよ!お前の心の泣き声が。』

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

『・・・・・・・・・・・・・・・。』



聞こえんだよ!



お前の心の泣き声が。






心の泣き声が。





「ぎゃはははははっっ!!!何ソレ!!!お前超クサイ!!!うわ!!」

『う・・・うっせぇ!!この泣き虫!!』

「ちょ・・・それ以上言うな!!うわー!こっちが照れるっつーの!!クセェ!!!」

『黙れ!!お前如きの戯言を真剣に聞いてやってる事に有り難みを持て!!』

「うう・・・腹痛ぇ・・・久しぶりに笑った。」

ひぃひぃ言いながらようやく回復した俺。

携帯の向こうからはドス黒いオーラを感じられます。

『・・・マジ殴ってやりてぇ。』

「きゃー。暴力反対ですー。」

そんな事を言って俺が再びゴロゴロとしているとなんやらガチャガチャと音がする。

「はへ?」

仰向けになったまま頭だけ音のするほうを見れば。

え?ドア?

『何?亮どうした?』

「え?わかんない。」

一つしかない屋上に入るドアがガチャガチャ・・・。

俺はドアじゃなくて窓から入りました。

って事は・・・。

「やべぇ!!!」

と、叫んだ瞬間ドアは開け放たれた。


:::::::::::::::


「か・・・。」

暗い校舎の中から出てきたのは、

「かいちょー?」

此処の学園の生徒会長。

紫の髪のと・・・と・・・。

・・・なんだっけ?

『亮どうした?』

「や。人が・・・。」

一先ず先生とかじゃなくて良かった。

・・・多分良かった。

亮は仰向けに寝転んだまま安堵の息を吐いた。

「此処にいたのか齋藤亮。」

良かったのか!?

てか俺に用!!?

葵はスタスタと長い足を運んでピタリと亮の頭の前で止まった。

見下ろす葵と見上げる亮。

「立て。」

命令口調でいかにも俺様な会長様。

「なんで?てか、俺アンタと関わりたくないって言わなかったっけ?」

どうもこの体勢は負けているようで嫌だったので上半身だけ起こして胡坐をかいた。

『亮?誰か来たのか?』

「あ?なんか生徒会長来た。別に関係ないから大丈夫。」

「何が大丈夫だ?行くぞ。」

そして首根っこを掴まれて上へ引き上げられる。

「ぐえ!!」

首が絞まって変な声を出してしまった。

つーか喉仏潰れたらどうすんだよ!?

「離せっっ!!俺は飯食うの!!!」

子猫見たいに持ち上げられたのでバタバタと暴れる。

「暴れんな。」

さも面倒だというように会長は嫌な顔をした。

そしてフワリと状態が浮き上がる。

「え?」

視線が高い位置になる違和感。

そして空中でとまった視点。

着地は腹。

「うわぁぁぁぁぁ!!!!」

こいつ俺の所担いでる!!!?

俵みたいに担いでる!!?

「暴れっと顔面から落ちるかんな。」

その言葉にサァーと全身から血が引いていく。

もちろん俺の数十cm下は地面なわけで。

「おおおおおお降ろして!!」

「無理。」

無理なわけあるかぁ!!!

『亮大丈夫なのか?』

「恵。今、俺一大事だから後で電話すっから!!」

未だに繋がってた携帯電話を切って握り緊める。

「かいちょー!マジ降ろしてください!!俺飯が!!」

「飯なら食堂で食えばいいだろ?」

食いたくないから此処にいんだろうが!

「それにしてもよく屋上なんて・・・お前此処から入ったわけ?」

俺を担ぎ上げたまま屋上のドアをくぐる会長。

そして小さな窓に眼をめぐらせる。

「ここか?」

「うぃーっす。」

「こんだけちっちぇと入れるもんなんだな。」

「・・・・・・・・・・・・。」

もう何も言い返す元気はありません。

だって少し顔を上げたらその先は階段。

「降ろして・・・下さい。」

なんで俺がこんな眼にあうんだよ。

てか弁当。

お弁当は青空の下にポツンと置かれている。

風呂敷すらまだほどいてない。

「降ろしたらお前逃げるだろ?」

「逃げません。」

逃げます。

俺の最高スピードで逃げます。

「嘘だな。」

あっさり否定するなら最初から聞くなって。

「・・・俺あんたと関わりたくないんですが。」

先ほど言った言葉をもう一度繰り返す。

「俺と関わると虐められるからか?」

「知ってたらなんで俺にかまうんだよ?」

コイツそういうこと知ってて俺に構うのか!?

最悪な奴だ。

「面白いから。」

・・・・・・。

ちょっと奥さん!!

この人どうかしてますよ!!

人に迷惑をかけちゃいけないって習わなかったんですか!?

「アンタが面白くたって俺は・・・。」

俺はつらいのに。

そんな事言ったってアンタにはわからないだろうけど。

「じゃ、お前、自分が虐められるのが嫌だから青木達の所もシカトしてんだな?」

「・・・・・・。」

・・・悪いか。

誰だって自分は可愛いだろ。

俺はあの人たちの思い出を汚されるくらいなら友達だって傷つける。

階段を一段一段降りていく葵。

ぶつかる恐怖は自然と無くてソレよりは胸の中にモヤモヤと苦しい感覚が広がっていく。

「答えろよ。お前はもうあいつ等の所どうでもいいんだな。」

「なんでそんな事アンタに答えなきゃいけないんだよ。関係ないだろ。」

そう、会長には全然これっぽっちも関係ない話だろ?


::::::::::::::


「そうでも無い。俺は生徒の代表だしな。」

「・・・・・・・・・・・・。」

コイツ・・・何て言った?

生徒の代表?

「ふざけんなてめぇ!」

どこの口が代表なんて言葉が出るんだよ!?

生徒の代表とか言ってんなら先ず自分のファンをちゃんとしろよ!

「お前知ってんだろ?嫉妬がどんなに醜いことするって!」

「あ〜。知ってるぜ。お前が何やられてるとかも。」

クククと笑いながらそいつは喋る。

「だったら・・・。」

「だからソレの結果を見たいと思って。」

「結果?」

「知らねぇのか?青木達が俺に何言ったか。」

「何・・・?」

「アイツが俺の友達は自分で決めるってよ、んでお前を苦しめたら許さないってな。」

「な・・・。」

何の事だ?

「俺のエゴでお前には関係ないことだってよ。・・・アイツあんなキャラだったのか?」

「春が・・・。」

春がそんな事?

だから・・・4日間は何も無かったのか?

そうだよな。

俺が離れたとしても俺への嫌がらせが無くなる訳じゃないんだ。
作品名:RED+DATE+BOOK03 作家名:笹色紅