さくら女子高校
茶髪
山崎は日本史を3年生に教えていた。
選択科目なので、20名ほどの生徒であった。
山崎の父親は寺の住職であった。檀家も多くて幼稚園も経営していた。母親はそこの先生であった。山崎が5歳の時に離婚した。
理由は話してはくれない。
大学進学の時に
「住職になるのなら駒沢がいいわ」
と母に言われ何となくその大学に進学した。しかし、離婚した父親の寺を継ぐ気にはなれなかった。
母の手一つで育てられいくら母がいいとはいえ、母を裏切る様な気持ちにはならなかった。
「今の子は幼稚園なのにおしゃれなのね。でも茶髪はどうかと思うな。髪を傷めるし、母親が押しつけているように思えるわ」
母が言った言葉。
教室に2人の生徒の茶髪が目に入った。
茶髪は禁止になっている。ホームルームがあるのに担任はきずかなかったのだろうか?
授業が終わり2人の生徒を呼んだ。
「その髪は違反だろうが」
「スイミングに通っていたので塩素やけです」
山崎はいい訳とは知っていたが、担任のメンツもあると感じて
「そうか。調べれば解ることだがお前たちを信用するよ」
と釘を刺した。
此の生徒たちは自分の意志で茶髪にしているのは確かである。