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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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さくら女子高校

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弁慶先生


生徒指導部長は体育を教える井上先生であった。
柔道3段の体格のいい先生である。年は52歳であった。
「このところ傘さし運転での事故が多いので、自転車に傘を差しこんであったら没収して下さい」
との命令を受け、山崎は自転車置き場を点検した。
ほとんどの生徒が自転車通学であった。500台ほどの自転車があった。
後輪の所に斜めに傘は差してある。
有る有る。30台に1台は有る。1日で20本ほどが集まった。
授業終了後放送を入れた。
「自転車に傘を差していた生徒山崎が預かっている。職員室まで取りに来るように」
その日に取りに来た生徒は1人であった。
「傘さし運転は危険だよ。カッパを着なさい。これにサインをして」
守ります。2度と傘さし運転はしません。
その生徒は「はい」と返事をしてきちんと自分の氏名を書いた。
1年2組 大森麗
天気予報で雨となると、傘の没収は多くなる。
所がほとんどの生徒は取りには来ない。注意されるよりは、新しい傘を買ってしまうのである。ビニール傘は100円で買えた。
雨の日に校門に立ち、傘さしを見張っていると、雨に濡れながら自転車に乗っている。
「カッパが有るぞ。借りてこい」
「近いから」
何人かの生徒に同じことをいい、同じ答えが返って来た。
後日解ったのであるが、生徒は折りたたみの傘を持っていた。学校から離れた所でそれを差すのであった。
何故カッパを着ないのかと聞くと、ダサいと言った。
濡れることより、かっこの良さを選ぶのかと、山崎は女の子の心理を知った。
山崎は生徒から弁慶先生と呼ばれるようになった。
1000本の傘も1年で集まってしまうかもしれない。
作品名:さくら女子高校 作家名:吉葉ひろし