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RED+DATE+BOOK02

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俺はテーブルに弁当を広げながら頷いた。

一番下は全部ご飯。

今日はなんと混ぜご飯です!

昨日はキノコのご飯でした。

めちゃくちゃ美味しかったです。

二段目からは芸術的に盛られたおかず達。

ひじきの和え物とか家庭的なものもあるし、かにグラタンとかもある。

それもこの味は冷凍じゃない!

カニの頭にグラタンが詰まってるぜ。

そして・・・プリンーーーー!!!

昨日の夜に桐生さんから貰った物が今日も!!

マジあれは美味すぎる。

表現するならとろける味ね!

「よし。いただきます。」

ご飯を一口。

すっげぇ美味い。

「美味そう。」

トレーに和風セットBをのせてきた春が俺の弁当をみて呟いた。

「ちょー美味いよ!食う?あ。楓も何か食う?」

「いいの?」

「いいよ。」

足りなくなったら食いっぱぐれた牛丼頼むし。

楓と春はそれぞれおかずをちょっとだけ自分の皿に載せた。

「これ桐生さんが作ってくれたんだ。」

「・・・あのさ・・・亮と桐生さんってどんな関係なの?」

楓が言いにくそうに口を開く。

「どんなって・・・」

うーん。お手伝いさんなのかな?

運転手っていうのも変だよな。

俺が言いあぐねていると楓は桐生さんの学校での紹介をしてくれた。

「桐生さんはね、凄く人気のあった人なんだ。まだ好きな人もいっぱいいると思う。」

「へー。」

分かる気がする。

あんなに優しい人だし、落ち着いてるし、それも紳士だしな。

理想の大人ってやつだよね。

「でも京様がいるから。」

「きょーさま?」

「篠宮京[シノミヤ キョウ]。此処の学園長の息子さんだよ。」

つー事は・・・京介さんの息子。

なんか・・・京介さんの息子だから京で俺は亮介の息子だから亮かよ。

そんなんでいいのか?

あ。そうなると・・・

「じゃあ、俺そのきょー様ってのと従兄弟だ。」

カラン

その言葉に楓は持っていたスプーンを落とした。

楓が食べてるのはクリームリゾット。

「は?」

「京介さんの息子なら俺の従兄弟。」

「・・・・・・・・・・。」

あれ?固まっちゃったよ楓君が。

どうしよう、春。

そんな眼で見ると春はちょんちょんと楓の肩をつついた。

ハッとしたように楓が覚醒する。

「ちょ・・・ちょっと待って・・・。」

頭を抱えて深刻そうな顔をする楓。

悩める美少年ってやつ?

「あー。この春巻き美味い。春も食う?」

「貰う。」

ひょいっと春の皿に春巻きを移動。

春は自分の所に盛ってあった出汁巻き卵を俺にくれた。

「俺の好きなやつ。」

「貰っていいのか?」

「ああ。亮も美味いのいっぱいくれたから。」

「サンキュー。」

どうやら春は思ってたより話せるやつだ。

自分の事だけでなく人の事を気にするというなんとも嬉しいこともしてくれる。

「ちょっと・・・春!なんでそんなに落ち着いてるの!?」

問題は解決したのか楓は顔を上げた。

「別に・・・亮は亮のままだから。」

「はえ?」

当たり前じゃん。

俺が春や楓になったら怖ぇーっの。

でも春になったらあの高い視線で色々みれるんだろ?

それはいいよな。

バレーでもあれは武器だよな。

「そうだけど・・・でも京様の従兄弟なんだよ。」

「さっきからきょー様って言ってっけど・・・どんなやつなんだ?」

その言葉に楓は止まった。

「え?だって亮は京様の従兄弟なんでしょ?」

「あ。そうだった。」

そこで俺はちょっと複雑で実は簡単な家庭の事情ってヤツを話した。

「だから俺はきょー様ってやつとは会ったときも無いんだ。どんなヤツ?」

「そうなんだ・・・亮は篠宮家の人なんだね。」

「母の性だから齋藤だけどな。で?」

「京様は・・・この学校の一番偉い人だよ。」

「一番偉い?」

「そう。学年は俺たちと同じ。あ、でも今は留学してるからいないんだけどね。」

「それはアレだろ?学園長の息子ってやつだからだろ?」

「そ・・う・・・いえばそうなんだけど。京様もカリスマ性はあると思うよ。」

「へー。イイやつ?」

その問いに楓は複雑そうな顔をした。

「学校牛耳ってるヤツ。俺は苦手。」

楓のかわりに春がその質問には答えてくれた。

「そうなんだ。」

「で・・・でもね、やっぱり凄く綺麗な人なんだよ。どことなく亮に似てるね。」

「俺に似てたら綺麗はねぇだろ。」

「外見は少し似てるけど中身は正反対。」

「春!」

楓の焦りようにもビックリするけど春が人の事悪く言うのにもビックリした。

俺と正反対なヤツ?

大人しくて・・・インテリ系か!?

大和撫子・・・ってそれは男にはつかわねぇしな。

「へぇ~まぁ、留学から帰ってきたらどんなやつか教えてよ。」

今更、従兄弟ですって言われても実感わかねぇけどな。

「う、うん。」

「さて。」

俺はお弁当を全て平らげ眼の前にプリンの器を置いた。

「いただきます。」

再び挨拶。

だってプリンは別腹。

スプーンですくって正にソレを食べようとしたとき邪魔が入った。

トンとプリンの皿の横に置かれた手。

「よう、齋藤亮。」

その先を見てみれば高確率出没男の生徒会長様だった。

「・・・こんにちは。」

俺はそう言った後素早くスプーンを口の中に入れた。

嗚呼・・・美味・・・。

「お前俺に何をしたか分かってるよな?」

「はい。」

やっぱ殴ったことの報復だよな。

俺だってあんないきなり殴られたら訳わかんないしムカつくしな。

「それは謝ります。すいませんでした。」

素直に頭を下げるとカイチョーはニヤリと人の悪そうな笑みを浮かべた。

「そんなんで俺が許すと思ったか?」

「・・・・・・・・。」

それは許さねぇって事ですよね。

ったく・・・男の癖にごちゃごちゃと・・・素直に謝ってるのによー。なんていえるはずがない。

だって取り囲まれてます俺。

会長のファンに。

春は無関心にパクパクご飯を食べてるし楓はおろおろと心配そうに俺たちを見ている。

ってか会長ってばどっか行く度にこんなにぞろぞろ連れてるのか?

砂鉄と磁石みたいだな。

俺は一つ溜め息をついて席を立った。

腹をさすって状態をたしかめる。

「・・・・顔でいいっすよね。」

会長はその言葉に眉を寄せた。

「一発殴ってドウゾ。正し腹殴ったら多分今食べた物吐きます。」

歯の一本くらい覚悟しなきゃダメかな。

前歯とか抜けたら超だせぇよな。

まぁ・・・いい教訓になるか。

「上等。」

カイチョーは指の節を鳴らして俺の前に立った。

楓が青い顔でスプーンを持ったまま立っている。

それに大丈夫と笑って静かに眼を閉じた。

「いくぜ!」

「・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・。」

パスッ

あれ?

くらわされたのは顔面に張り手?

でも全然痛くないっすよ。

それも鼻から顎にかけて未だに手らしき物が被さってるだけだと思うのですが。

俺は恐る恐る目を開けた。

「・・・・・・・・。」

って春!?あんた何してるのさ!?

春は何故か俺の口を手で塞いでいた。
作品名:RED+DATE+BOOK02 作家名:笹色紅