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RED+DATE+BOOK01

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そういって会長は俺の顎を掴んで上を向かせた、藤堂という名の男の漆黒の眼と俺の眼があう。

そして段々その顔が近づいてくる。

何だっけこれ・・・どっかでこんな事あった・・・・。

そして俺はその事柄を思い出したとたん目の前にある男の顔を殴っていた。



バシンッ



と音が響き、ソレと共に


シン・・・


と静まり返る学食の中。

俺は手に感じる痺れとともに過去を思い出した。

中学に入った最初の頃同じようなことがあったのだ。

全然知らない先輩が行き成り掴みかかってきた。

そして段々と顔が近づいてきて・・・そいつは俺にキスしようとしやがった!!

男子校だ男子校!!

その時から危険を察すると俺は考えるより先に殴っている。

それは桜先輩と出会うまで続いたから既に癖だ反射だ。

今だって多分・・・。

カイチョウは少し唖然とした後凄い形相になって俺を睨んだ。

「てめぇ・・・」

怖ぇよ!めっちゃ怖ぇよ!!

つーか平手打ちだっただけでも良しと思ってよ。

グーで殴らなかっただけでも・・・!!

「か・・・・。」

何か言い訳しないとやばいぞ!

アンタが不用意に俺に顔なんか近づけるからいけないんだけどそんな言い訳通用しない!(特に周りで怒

りのオーラを放っているファンの方々に)

「蚊が止まってました会長。では、俺失礼します。楓、悪い。」

こうなりゃ逃げるが勝ちだ。

言い訳も苦しいし。

だけど誤解を招く行動をする会長も悪い。

・・・てかあの人俺に何しようとしてきたんだ?

キスか?

・・・・・まさかな。

初対面の人にキモイって言われちゃうほどですし☆

・・・自分で言って自分で引くよ。

うーんうーん唸りながら歩いてたらいつの間にか知らない所へ。

「はれ?此処どこ?」

きょろりと辺りを見渡せばどう見ても外。

校舎はどこ?

もう一度一回転してみるとパンフレットで見た建物があった。

「!!」

思わず走ってその建物へ行く。

大きい扉に恐る恐る手を手を掛けて左右に開く。

「でけぇ・・・!!」

目に入ったのは輝くほどに磨き上げられたフローリング。

体育館だ。

いそいそと靴を脱いで中に入る、ついでに靴下も脱ぐ。

「すげーでけー新しいー!!」

思った言葉をそのまま声に出して走る。

アレはないかな~?と回りを見渡せばありました!!!!

それに満面の笑みで突っ走る。

掴み取った手の中のもの、それはバレーボールだ。

「ほっ!」

そのままソレを真上に放る、そして落ちてくるボールをアンダーレシーブでもう一度上げる。

腕に当たるボールの感覚、自分の思い通りの所に行く軌道。

「あ~。バレーやりてぇ~。」

思い出されるのは前の部活メンバーだ。

おもわず視界が歪むがなんとか堪えてボールを受け止める。

キーンコーンカーンコーン・・・・

「やべぇ!!」

確か最初になるのは予鈴!その5分後には授業が始まる。

俺はもとあった場所にボールを片付けると慌てて体育館を出た。

その体育館でずっと俺のところを見ていたやつがいる事に気づかないまま。








「ま・・・間に合った。」

椅子に座ってうなだれる。

授業開始1分前。

下がりつつある前髪を再び手櫛で整えて次の授業のテキストを出す。

「あ。亮・・・探したんだよ。」

楓が入ってきて隣に座る。

「え?マジ、ごめんな。」

「ううん。ボクこそあんな所に連れて行っちゃって・・・。」

「や。楓が気にすることじゃねーって。」

しょんぼりしている楓の頭を撫でてやると楓は顔を上げた。

「亮って・・・外見とのギャップ激しいよね。」

ああ。それ言われたの二回目。

「だってお前ら坊ちゃん刈りじゃねーんだもん。」

その言葉に楓は分からないという風に首を傾げたがちょうどチャイムが鳴って先生が入ってきた。



ようやく放課後になり俺は机に状態を預けて伸びをした。

「亮、もし暇だったらボクこの学校案内するけど?」

「マジで?いいのか??」

「うん。」

「・・・俺行きたい所あるんだけど。」

「どこ?」

「バレー部。」

「バレー部・・・。」

楓はものすごい意外そうな顔をして俺を見上げる。

「意外?」

「うん・・・すごく意外だ・・・。」

ま、こんな真面目ちゃんなかっこしててもかっこつかねぇしな。

「でも・・・バレー部つらいよ。」

そりゃあ全国一ですものね。

練習量は半端ないんじゃないんですか。

「上下関係っていうか・・・なんていうか・・・。」

はれ?

楓の口から出たのは俺が思っている言葉じゃない。

「此処のクラスはバレー部いないのか?」

何気なく聞いてみると楓はぱっと表情を明るくした。

「春がそうだよ!春がいるなら亮も大丈夫かもしれない。」

春・・・って言う人はそんなにすごいのか?

そんな事を思いながら俺たちは体育館に向かい歩く。

チラチラと俺を見てはヒソヒソと声を殺して囁きあう。

内容なんか聞こえなくても絶対悪口だ。

「・・・・・・・・。」
「・・・亮・・・気にしないほうがいいよ。」

「あ?ああ。別に平気だぜ。」

『なんで綾瀬様があんなのといるんだ?』

不意に聞こえた言葉に足を止める。

『綾瀬様に迷惑って気づいてないのかなぁ?』

その言葉はばっちり楓にも聞こえていたみたいで辛そうな表情で下を向いた。

「・・・俺さ~最初教室入ってきたとき実はちょっと傷ついたりしちゃったんだよね~。」

「え?」

楓は驚いたように顔を上げた。

「でも楓が声かけてくれたじゃん?それ、めっちゃ嬉しかったわけよ。」

「う、うん。」

「エスパーじゃねぇから楓が俺の事どう思ってっかなんて知らないけ「迷惑なんかじゃないよ!」

俺の言葉を遮って楓が叫ぶ。

今度は俺がその言葉に驚かされた、でも楓の眼は真剣そのものだ。

「そっか。うん。良かった、楓の事スキだからさ。」

俺はニカッと笑顔を向ける。

その言葉が聞けてよかった。

「へ・・・・?」

間抜けな顔をしたと思った瞬間ボンと言う音が出そうなくらい顔を真っ赤にする。

「もし、楓が自分といて俺が嫌な思いするんじゃないかとか思ってるなら間違いだからな。」

「・・・なんで・・・思ってたことわかるの?」

「やっぱ思ってたんだ?」

にししと笑って楓の頭をポンポンと叩く。

「俺はお前のところスキだから一緒いるんだ。今日あったばっかだけど楓と友達になりたいと思うよ。

友達が人気者なんてすごくねぇ?」

「っっ・・・ぼ・・・ボクも亮と友達になりたいな!」

「よし、じゃあ周りから聞こえてくる悪口は俺が楓と友達になっちゃった事へのヤキモチ会話って事で

。気にすんな!」

「・・・それボクの台詞だと思う。」

ぷくっと膨れる楓は男の俺から見ても可愛らしい。

それに笑って再び歩き出した。

ってゆーか此処の学校の生徒さんは陰口悪口がお好きなんですね。

さっきから『殴った』とか聞こえるキーワードは学食の事だな。

情報がはやいっすよ。

殴った俺はそりゃあ悪いですけどぼこぼこにした訳じゃあるまいし・・・。
作品名:RED+DATE+BOOK01 作家名:笹色紅