RED+DATE+BOOK01
「じゃあ、俺が名前を呼んだら入って来いよ。」
「うぃー。」
そして柏木が教室に入っていく。
教室の中は外にも声がもれるくらい興奮しているらしい。
俺はやっぱ緊張しながら呼ばれるのをまっていた。
「いいぞ、入れ。」
ガラリと扉が開き柏木が顔をだす。
そして俺は一歩を踏み出した。
シーーーーーーーーーン。
全員が俺に注目。
そして溜め息アンド落胆。
俺も教壇の前に立って見渡せば・・・・
茶髪にピアスなんてざらにいる、むしろ坊ちゃん刈りや七三なんて一人もいねぇ!!
えええええ!!!???
お坊ちゃまじゃねぇのかよ!!?
「今回アウトー。」
「今時七三かよ。」
アウト言うなアウト。
お前、七三を馬鹿にすんなよ。お見合い写真は大体七三じゃねぇか。
「あんなんじゃ勃つもんも勃たねーし。」
「ぎゃははは言えてる!!」
つーか聞こえてんだよ。
お前らに勃たれてもこっちが困るっつーの。
心の中で逐一突っ込んでこめかみに浮き出そうになっている血管をどうにか抑える。
てか、お母様・・・俺どっちにしろいじめられそうな予感がします。
「うるせーぞ、お前ら!転校生に失礼だろうが!!」
柏木がすかさずフォロー。
でも遅いぞ柏木。
それでもクラスの奴らはしぶしぶ静かになってくれたみたいだ。
「じゃあ、自己紹介して。」
「齋藤亮です。よろしくお願いします。」
「よし、じゃあ転校生に質問は?」
「別にないでーす。」
満場一致ですかい。
「じゃあ、齋藤は綾瀬の隣な。」
「ええーーーー!!?」
今度はブーイング。
「うるせぇぞ!!お前ら。綾瀬、手を上げろ。」
「はーい。」
華奢な腕が上がった先はこりゃまた可憐な男。
なるほどね~此処のクラスのアイドルって訳か。
俺の席は窓側の一番後ろになった。右に綾瀬君だ。
「よろしく齋藤君。」
にっこり笑うと小さな花が飛ぶ。
なんてゆーか可愛いものはやっぱ和むよな。
「亮でいい。よろしく綾瀬君。」
「あ。ボクも楓でいいよ。綾瀬楓[アヤセ カエデ]って言います。」
あ。いい人だ。
社交辞令だとしてもこれはいい。
「へへ。ありがとうな。」
嬉しい気持ちを相手に伝わるように笑うと楓は少し眼を大きくして頷いた。
「亮、ボク学食行くけど・・・一緒にどうかな?」
4限目が終わると楓が声を掛けてくれた。
マジこいついいやつじゃん!
「いいの?俺も行って?」
「うん。今日はいつも一緒に食べてる友達が用事あってさ。後で亮にも紹介するね。」
「ああ。そいつってここのクラス?」
「そう。青木春[アオキ ハル]って言うんだけどね。僕の前の席だよ。」
「ふーん。」
こりゃ楓のお陰で何人か友達出来そうですね。
安心安心。
「亮はさ、どこの学校からきたの?」
「ああ。言ってなかったっけ?うーん・・・わかっかな~?県外なんだけど明星高校って所。」
「聞いたことは・・・あるよ。」
「普通そんなもん。」
「あの・・・此処の学校はさ・・・。」
言葉を濁す様子に俺は頷いた。
「ああ。分かるってそれくらい。俺も男子校に通ってたからちょっとはそういうのあったし。」
そう言うと楓はホッとした表情になった。
「楓も好きなヤツとかいんのか?」
「ううん。ボクはいないんだけど・・・やっぱり外部生はこういうの抵抗ある人いるしさ。」
「まぁな~。でもパッと見そんなにひどそうじゃねーじゃん。」
「・・・うん。表向きはね・・・あ。でも、人気ある人は相当すごいよ。」
「あ~。親衛隊とかだろ?漫画の世界みたいだけどな。」
ずばり言い当ててやると楓は驚いた顔で俺を見上げた。
あ。俺の身長は165cmもうちょいで170cm(←ここ大事)
あと5cmもあるじゃんとかっていう突っ込みは無しの方向で。
そして隣にいる楓は・・・160cmくらいか?
「凄い・・・もしかして亮の学校もあったの?」
「あったちゃーあったのか?」
桜先輩は多分そうだったんだろうし。
そんな話をしているうちに学食もといオープンテラスみたいな造りになっている場所へ着いた。
なんつーか金持ちはすごいねー。
「どうやって食えばいいの?」
「あのね、生徒手帳のカードあるでしょ・・・これを此処の機械に通して・・・画面に出るメニューから好き
なのを選ぶ、そしたらチケットが出てくるからそれを向こうのスタッフの人に渡せばいいんだ。」
楓が実践しながら詳しく教えてくれる。
そして俺も右に習おうとしたとき辺りが騒がしくなった。
どうやら人気者様が学食にいらっしゃったみたいだ。
まぁ、おれには関係ないのでメニュー画面をじっと見つめる。
「カニピラフ・・・きのこのリゾット・・・ああでも牛丼でも・・・。」
この牛肉ってアメリカ産じゃねぇよな?
「なぁ、楓、この牛肉ってアメリカ・・・って・・・。」
そこにいたのは背の高い二人の男。
「楓君が青木君以外の男と一緒にいるのは珍しいですね。」
「あん?今時七三かよダセェな・・・。」
どうやらその二人は楓に声をかけてきたようだ。
「あ・・・。亮、此方生徒会長の藤堂葵[トウドウ アオイ]先輩と副会長の加賀雅之[カガ マサユキ]先輩。」
楓がわざわざ俺に紹介をしてくれる。
「どうも。齋藤亮です。」
初対面にして俺のところをダサいなんて言っちゃってくれた人がカイチョーで後ろの綺麗なひとが副会
長ね。
ここの人気者ってやつね。
ああ。そういえば楓が学食に入ったときも騒がしかったね・・・つー事は俺は人気者に挟まれてんの!!?
俺も違う学校の制服着てるから目立つっちゃ目立つんだろうな・・・。
「何アイツ・・・」
「キモイ、藤堂様に近寄るなって。」
あ~。やっぱり挟まれてる訳ね。
聞こえてます・・・聞こえてますよーファンの方々。
あ。それにしても生徒会って生徒の代表なんだろ?それがそんな髪でいいのか?
っていうのもカイチョーさんの髪の色は紫で副会長は銀色だ。
こんなら俺が黒に染めてくる必要なんて全然ないんだな。
「君は見ない顔だね。」
と副会長。
「俺、今日付けで転校してきたんです。これからよろしくお願いします。」
ここはなるべくいい子に。
多分陰口なんて聞こえるくらいだからマナーがいいはずがない。
そう思うと前の学校のやつらはなんて良かったんだ・・・。
てか指揮がよかったんだろうな・・・。
「あ?転校生だ?聞いてねぇぞ。」
「そうだね。大体情報は来るのだけどね~。」
や。そんなの知りませんから、てか腹減ったよ。
そこで俺は聞けずじまいの疑問を楓に振る。
「ねぇ、楓、此処の牛丼ってアメリカ産の肉使ってたりすんのか?」
「え?多分使ってないと思うよ・・・。」
だよな。金持ちだもんな。吉野家だって豚丼にしてるしな。
「お前此処の校風分かってきたのか?」
え?俺に質問ですか?
カイチョーあなたニヤリって笑うと結構極悪顔なんですね。
「校風?」
ホモ意外に何かあったっけ?
「わかんねぇなら教えてやんよ。」
作品名:RED+DATE+BOOK01 作家名:笹色紅