RED+DATE+BOOK01
篠宮学園はなんつーかやっぱお金持ちって感じ。
パンフを見たからそんなに馬鹿見たいには驚かないけど。
前の学校も相当大きかったけどこっちは大きいプラス綺麗で豪華だ。
学校に豪華さなんか必要か?と思うけどやっぱ将来社長や偉い人になるには別に普通なのかもしれない
。
「まずは叔父さんに挨拶に行かなくちゃね。」
おふくろはそう言っててこてこと職員玄関の事務室に向かう。
俺も回りを見ながらそれに続いた。
大きな扉の前。
俺とおふくろは案内してくれた事務員にお礼を言ってそのドアをノックした。
「失礼します。」
「ああ。お待ちしておりましたよ。」
出迎えてくれたのはオヤジの兄貴。
学園長だ。
なるほど・・・オヤジをもうちっとスポーティーにしたらこんな風になるわ・・・。
俺は初めて会うけどおふくろは違うらしく親しそうに挨拶をしている。
「亮君だね。初めまして、亮介の兄でここの学園長の篠宮京介だ。[シノミヤ キョウスケ]」
「どうも初めまして。齋藤亮です。」
昨日今日と自己紹介ばかりだ。
これからもまだ自己紹介の日々が続くのだろう。
ったく・・・新しい場所っつーのは疲れるな。
「早速亮くんには今日から授業に出てもらうんだけど大丈夫かな?」
「はい。大丈夫です。つーかこんな時期に入れてくれて本当にありがとうございました。」
京介さんはちょっと意外な顔をしてからにこりと微笑んだ。
「いや、いいんだよ。父さんも母さんも亮君が来て喜んだだろう。」
「ええ。俺もじーちゃんとばーちゃんに会えてよかったです。」
出された茶を飲みながら数分たわいも無い話をした。
コンコン・・・・。
そこにノックの音、失礼しますと入ってきた人物はスーツを着た男の人だ。
「ああ。君の担任の先生だよ。」
パッと見、新任教師のような爽やかさがある先生だ。
「こんにちは、齋藤亮です。」
「母の杏里です。」
「初めまして、1-2担任の柏木一郎です。」
やっぱ笑顔も爽やかだったさ。
「じゃあ、おふくろ。」
「ええ。柏木先生息子をよろしくお願いします。」
「はい、お母さん。責任持ってお預かりします。」
「柏木君宜しく頼むよ。」
「はい、学園長。では、行こうか、亮君。」
短い挨拶をして俺は担任についていった。
既にもう授業は始まっているらしくあたりはシーンとしている。
「柏木先生、俺のクラスって2組なんすか?」
俺が小声で聞くと柏木はビックリした顔で此方を向いた。
「ああ・・・そうだよ。2組だ。」
「へーどんなやつら?」
「元気な生徒ばっかりだよ・・・時々手がつけらんなくてな・・・。」
やっぱ新任か?
「ふ~ん。いいクラス?」
「そりゃあ!皆、根はいいやつだ。」
根はって・・・それって微妙じゃん。
「・・・何ですか?俺の顔に何かついてるっすか?」
じっと見る柏木に首を傾げる。
「いや・・・齋藤は外見とギャップがあるんだな・・・。」
「え?だって此処の学校ってみんなこんなカッコばっかなんだろ?あと坊ちゃん刈りとか。」
「そんな事ないが・・・・・・・・。」
え?それって・・・。
俺が疑問をぶつける前に柏木は立ち止まった。
「そうだ・・・齋藤、お前にも一応言っておく。」
「何ですか?」
「いいか、此処は男子校なんだ。」
それでピンときた。
「あ。ホモがいるってことっすよね。」
すばり直球を突くと担任はポカンと口をあけた。
「あれ?違うっすか?」
「いや・・・ずばりそうなんだが・・・相手から言われると・・・していた覚悟が・・・。」
「つか、有名っすよ結構。噂でしたけどやっぱ本当なんだ。」
あとで恵にメールしてやろう。
「まぁ・・・なんだその・・・」
「別に俺偏見とか持ってないんで。あ。でも俺はホモじゃないっすけどね。」
「そうか。」
柏木はホッと息をつくとこっちだと言って角をまがって立ち止まった。
どうやら教室に着いたみたいだ。
作品名:RED+DATE+BOOK01 作家名:笹色紅