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RED+DATE+BOOK01

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「母上・・・お手に持ってるのはなんでございませう?」

いつぞやこんな言葉を言った。

そして目の前にはやはり遠くない記憶・・・むしろ昨日の記憶。

ヘアーカラースプレーがこちらに向けられているよ。

これってデジャブー!!?

「髪黒くしようね、亮ちゃん。」

ね。じゃねーよ、ね。じゃ!

「なんで?じーちゃんだって平気だったじゃねーか。」

「だって篠宮学園はお坊ちゃまが行くところなのよ、そんな髪で行ったらいじめられちゃうじゃない。



うるると目に涙をためるおふくろ・・・お前今年で何歳だよ?

ベビーフェイスだからって息子だませると思うなよ。

「平気だろ。そんな事言うんだったら眼のほうがいじめられるっつーの。」

そのもっともな俺の台詞も命取りだった。

「うん。だからはい。」

そして渡されたのはコンタクトケース。

「黒のカラーコンタクトはいってるからね。作ったのよ。」

作ったじゃねぇよ!こんにゃろう。

第一眼の中にレンズなんかいれられっか!

「怖い!嫌だ!」

「我侭言わないで・・・友達一人も出来ないなんて亮だって嫌でしょ?」

「そりゃ・・・」

「友達出来た頃にカミングアウトすればいいじゃない。」

「・・・・・・・・。」

多分コレはおふくろ達の好意なんだ。

ちょっと異質な俺を思ってのこと。

「わかったよ・・・。」

仕方なくレンズケースとスプレーを受け取る。

「じゃあ、支度できたらこっちに来なさいね。」

「うぃー。」

お坊ちゃま高校ね~。

・・・・まてよ・・・・。

って事はもしかして生徒は坊ちゃん刈りばっかなのか!?

全員第一ボタンまで閉めてる系か!?

黒眼黒髪にしたって・・・そんなんでも今の俺が行ったら浮きまくりじゃねぇか!!

それはまずい。

三年間友達一人もいませんよ生活なんて絶対嫌だ!!!!









「まぁ・・・亮ちゃんよね?」

「・・・ソウデース。」

仕度が終わっておふくろがまってる居間に入るとそんな言葉を投げかけられた。

まぁ、今の俺は黒髪黒眼に加えてワックスで撫で付けた七三にかっちり眼鏡をかけている。

眼鏡と言えば瓶底だけど生憎俺はそんな眼鏡持ってない。

だけどこの服装ならお洒落じゃなくて本当に真面目君だ。

「お坊ちゃまみたいだわ。」

その言葉聞けりゃ上等だろ。

制服はまだ届かなく、前の学校のブレザーを着た俺は玄関の鏡に映って噴出しそうになる。

まじ、どっからどう見てもお坊ちゃまだ!

これで友達も出来るぜ☆

笑いのネタに恵に写メ送っちゃる。

そして鏡に映る自分をカシャリととった。

「いってきまーす!」

元気よく家を飛び出して門を出る。

「どうぞ、お乗りくださいませ。」

待っていたのは黒い車。

メルセデスベンツ!!

や。篠宮学園まで車で40分くらいだからしょうがないんだけどさ。

「俺ベンツ初めて乗るー。」

昨日から感動しっぱなし、いつかはこの暮らしに慣れるのか?

車に乗って数十分もしないうちに俺はグーグーと眠っていた。

「亮、起きなさい着いたわよ。」

おふくろに起こされて車を降りてうーんと延びる。

マジ乗り心地最高でした。

運転手さんも運転上手いね。

「では、お待ちしております。亮様は放課後迎えに上がりますので何かありましたら此方にお電話下さ

い。」

そういって渡されたのはシンプルな名刺。

【桐生 正人[キリュウ マサト]】と言う名前と携帯番号、アドレスが書かれている。

「ありがとな、桐生さん!」

お礼を言って俺は篠宮学園に足を踏み入れた。


作品名:RED+DATE+BOOK01 作家名:笹色紅