RED+DATE+BOOK01
「まぁ・・・人気者は大変ってな。」
「お前が言うな。あー。なんか言い辛くなってきた・・・黙って転校してもいい?」
「そんなことしたら和哉先輩に殺されるけどな。俺の命も危ない。」
「乗り込んできそうだしなー。」
「そう。うちのエースを誘拐したとかってな。」
「笑えねぇ・・・。」
「・・・本当に行くんだな?」
「ああ。もう決めた。」
恵はふぅと溜め息を吐くとわしゃわしゃと俺の頭をかき混ぜた。
「忘れんなよ。こっちのこと全部。」
「忘れねぇよ。連絡だって取る・・・何かでこっちに来ても・・・」
その後は言えなかった。
あまりにもそれはずるい言葉だと思ったのだ。
「みんなお前を歓迎するに決まってんだろ。」
そんな俺の心を見透かしたのか、恵は一番欲しい言葉をくれた。
「・・・ともかくは二週間だ。」
「ああ。言うのは早いほうがいいぜ・・・っていうか今日今すぐ言って来い。」
「うぃー。」
そして二週間後、俺は転校した。
作品名:RED+DATE+BOOK01 作家名:笹色紅