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人の噂も七十五日だ!

・・・・でも七十五日って長くねぇ?

だって2ヶ月と半月だろ。

「・・・・・・・・・。」

まぁ、いいや。

早く学校行こう!

正面から行くのはやっぱり視線が怖いから裏から行こう。

そう思い建物の陰に隠れて進んでいく。

「ん?」

遠くのほうに人影がある。

俺は見つからないようにその場に近づいた。






「お前さ~、あんまり先輩に近づかないほうがいいよ。」

「今回お声を掛けて頂いたのだって気まぐれなんだからな。」

あー。もしかしてコレってリンチってヤツですよね?

なんだ~桐生さん、此処の学校にもリンチはあるんじゃん。

チラリと見ると二人対して一人の震えているかわいそうな生徒。

3人とも俺より大分小さいぞ。

顔は・・・いじめられている子しか見えないけど泣きそうにしている。

「聞いてんのかよ!!」

二人組みの一方がその子の襟首を掴む。

こりゃヤバイだろ。

と思った同時に俺はその場に出ていた。

「イジメですか~?」

焦ったように此方を振り向く二人。

・・・どっちも男の癖に可愛い。

てか可愛い子が可愛い子をいじめるなよ。

「その子泣きそうですよ、もうやめたらどうですか?」

真面目ちゃんのかっこしてるしここはソレっぽくね☆

いじめていた二人は俺の顔を見てもっと苦苦しい顔になると無言でその場から立ち去った。

「だいじょーぶ?」

青い顔をして振るえている子に顔を向ける。

その子は眼に涙を溜めながらコクンと頷いた、その動作で一筋涙が流れる。

「これ使ってな。」

丁度入っていたハンカチを渡して俺もその場を去った。

だって・・・やっぱ今の俺はあんまり宜しくない噂の第一人者だから。






1年の教室まで辿り着くのに一日の半分のカロリーは費やしたぞ。

陰口なら聞こえないように言えよ!と叫びたい俺は校舎に入ってからも罵詈雑言を聞きながら進んだ。

なんとゆーか・・・真実はどうやったらそんな所に行きたつんだっていう噂に変わっていた。

例えば、俺がカイチョーを殴った理由はあまりに素晴らしいカイチョーの容姿に俺が勝手に嫉妬をした

とか・・・

楓なんかは俺に脅されてるとか、やっぱり同情しているだとか・・・

青木春に至っては俺が抱きついたことになってます。

わぉ、捏造甚だしいってね。

こんなんじゃ教室内でも俺はヤバイんじゃねーか?

些か緊張しながらドアに手を掛けてソレを開ける。

やはりと言うか何と言うか・・・俺を見たとたんシーンとしている教室内。

そして俺は自分の机に目を向けると数人の男が俺の机を取り囲んでいた。

「・・・・・・・・。」

嫌な予感は当たる。

俺が机の前まで行くとその男たちは黙って退けた。

机の上に書いてあったのは悪口とか悪口とか悪口とか!!!

馬鹿とか死ねとかそんな言葉。

それも油性マジックのようだ。

なんつーか・・・マジいじめじゃん。

典型的じゃん。

俺が眉を寄せて顔を上げるとその男達は少したじろいだ。

怒りより悲しい気持ちの方が大きい。

クラスの奴らがやったのかと思うとなおさらだったのだが・・・・

はれ?

あんた達の手に持ってるのは雑巾じゃありませんこと?

「・・・お前らがやったんじゃねーの?」

素直にそのまま聞いてみれば茶髪のちょい不良系が前に出た。

「ちげーよ。こんな事やるはず無いだろ・・・仮にもお前はクラスメートだぜ。」

ああ。確かあなたは俺に向かって勃つとか勃たないとか言ってたやつですよね?



「・・・なんだ・・・。」

なんだ・・・。

そっか・・・クラスメートがやったんじゃないんだ・・・。

それもこいつらは俺のためにコレを消そうとしてくれてる。

そう分かったとたん嫌な気持ちなんて吹っ飛んで嬉しい気持ちが湧き上がってくる。

担任の柏木が言ったとおりだ!

根は優しい奴らなんだ!!

「そっか、ありがとな!!」

カラリとした笑顔で言ってやるとそいつ等は目を丸くしていた。

「でもコレ・・・水じゃ落ちねぇだろ?」

いっぱい擦って下さったらしいけどちょっと薄くなってる程度だもんね~。

そこで俺は思いつく。

「う~ん・・・だれか除光液もってねぇ?」

てか、マニキュアなんかしねーんだから持ってねぇかな?と思ったら持ってましたよクラスメートが。

「ソレかして。ちょい除光液減っちまうけどいい?」

頷いたのを確かめて机の上に除光液をぶっかける。

それを雑巾でふけば。

「おぉーーー!!」

綺麗に消えるってわけですよ!

よ!庶民の生活術!

素晴らしいね除光液!

「お前って・・・面白いヤツなんだな。」

あ。それと同じようなこと何回か言われたよ。

「そっか?普通だろ。お前名前なんてゆーの?」

「木野下純平[キノシタ ジュンペイ]」

純平?お前全然純平って顔してねぇじゃん。

耳・・・ピアス何個開いてるの??

口にピアスって痛くないの?

ヤンキーは人に優しいの?

「お前・・・何考えてるかすっげーよく分かるな。」

笑顔がなんか怖いよじゅんぺー君。

「・・・そんな事ないです。よろしくな。」

それが始まりで楓が来るまで俺はクラスメートの自己紹介を受けた。

そして・・・俺は噂の元凶の一人と今向かい合ってます。

「・・・あの・・・青木君、俺、お前の事全然覚えてないんだけど一体どこで会いましたっけ?」

昨日の体育館ぶりですね。

「・・・・・・・・・。」

「は・・・春。」

机の横では楓が困ったように青木を見ている。

「昨日は・・・いきなり悪かった。」

頭を下げて謝られる。

や。でも俺が知りたいのはどっかで会いましたっけって事なんだけど。

「や。それはもうどうしようもないっつーか。」

噂は一人歩きするもんだしな。

「俺・・・お前に会ったときあるの?」

もう一度同じ質問をすると青木は首を横に振った。

「じゃあ・・・」

「俺・・・齋藤亮の試合を見たことある。」

「試合ってバレーの?」

聞くとコクンと頷く。

「でも俺・・・高校の公式戦にはまだ出てないんだぜ。」

「そのずっと前からだ・・・。中学1年の時、練習試合で見た。」

「中一・・・。」

中一って言うと・・・お情けで出してもらってたやつか?

練習試合なんていっぺーやったかんな~。

「お前と対戦したの?」

その質問には首を横に振った。

なんか、やりにくいヤツだな。

「その試合・・・ギャラリーで見てたんだ。あんなに楽しそうにバレーやるヤツはじめて見た。」

まぁ。バレーは大好きなんで。

「だから俺ん所知ってたんだな。てか大分地域的に離れてっけど。」

「実家があっちにあるんだ。それから何回か見に行って、凄い惹かれていった。俺もバレーやろうと思

った。」

「へぇ・・・。」

言われてることは嬉しいんですがそれ以上に恥ずかしいのは何ででしょうか?

「高校入ってからも一回見にいったのだけど・・・その時は齋藤亮の髪はみ・・・」

慌てて青木の口を手で塞ぐ。

楓は首を傾げてどうしたの?と聞いたが俺はなんでもないと答えた・
作品名:RED+DATE+BOOK01 作家名:笹色紅