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タマ与太郎
タマ与太郎
novelistID. 38084
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おしゃべりな男

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翔太は絶好のチャンスの訪れに感謝した。
そして、思い切って有里を誘ってみた。

「森下さん、あの、もし良かったら軽く飲んでいきませんか?」
「ええ、いいわよ。どこ行く?」

有里のあっけないOKの返事に翔太は拍子抜けした。
翔太は先日上司の課長に連れて行ってもらった居酒屋に向かった。
それほど高くもなく明るい感じの居酒屋で、初めて有里と飲むにはちょうど良いと思った。
二人はカウンター席に並んで座り、生ビールを二つに焼き鳥の盛り合わせを頼んだ。
テーブル席で向き合うより、
横に並んだ方が話がはずむという話を翔太はどこかで読んだことを思い出した。
そして、今日こそは喋りすぎないよう自分に言い聞かせた。
ふとしたことで、二人がクラシック音楽のファンであることがわかった。

「高崎君の好きな作曲家はだれ?」
「断然モーツァルトですね。特に室内楽が好きなんですよ。森下さんは?」
「私はエリック・サティ。あの独特なピアノ曲は絶対誰も真似できないもの」
「へー、渋いですね。サティといえばジムノペディですよね」
「うん、ジュ・トゥ・ヴもいいよね」

翔太たちは音楽談義に花を咲かせた。
そして音楽の話、特にモーツァルトの話になると、ついつい翔太は饒舌になった。

「ふふ、高崎君ってよく喋るね」
「あ、すみません、また喋りすぎてました?」
「ううん、たくさんお話してくれて楽しいよ」
「いや~、いつも気をつけてはいるんですけどね」

二人はあっという間の2時間を過ごした。
30代の男女が帰るにはまだ早い時間ではあったが、
翔太は今日が初めてということもあり、二次会に誘うこともしなかった。
何の抵抗もなく携帯のメルアドを交換した後、二人は店を出た。

「今日はお付き合いいただいてありがとうございました」
「いいえ、こちらこそ。楽しかったよ」
「あの、またお誘いしてもいいですか?」
「はい、私なんかでよろしかったら」

二人は帰宅方向が反対なこともあり、居酒屋の前で別れた。
翔太はスキップしたい気分だった。
顔がにやけていることが自分でもわかった。
そして翔太の足は、自然とあのガード下の「願いを叶える占い師」の下に向かった。

作品名:おしゃべりな男 作家名:タマ与太郎