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タマ与太郎
タマ与太郎
novelistID. 38084
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おしゃべりな男

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第2章 はじめてのデート


占い師を訪ねた2週間後、翔太は部長に呼ばれた。

「高崎君、実はね…」

翔太の会社は大阪に日本支店を持つ外資系の企業と提携して、
新しいビジネスを展開することとなった。
その担当部門は営業2部で、担当者として翔太が指名された。
部長の話はこのような内容だった。

翔太は心の中でガッツポーズをした。
そして小さな声でこう叫んだ。

「あの占い師の話、当たったぞ」

まずは有里にこのことを報告したかった。
翔太は無理やり用事を作って経理部を訪ね、話のついでのように今回の話を有里にした。

「へー、すごいじゃない。高崎君、大抜擢だね」
「いや~、そんなことないっすよ、使いっ走りみたいなもんです。
大体僕なんて英語も出来ないし、外国人を見ただけで緊張しちゃうし」

翔太は思いっきり謙遜してそう答えた。

「上司はちゃんと見ているんだから、気を抜かないで頑張ってね」
「ええ、分かってます。そうそう、今後大阪の出張が増えると思うので、
出張旅費の精算なんかでもお世話になると思います。
また分からないことがあったら教えてくださいね。それから…」
「あ、ごめん。これからミーティングなんだ」

翔太は「またやっちゃった」と思った。
ついいつもの癖で喋りすぎてしまった。
それでも、翔太は気分が良かった。
仕事の流れが変わってきたし、有里と話す機会も以前より増えてきたからだ。
その日の仕事を終え、翔太は途中の本屋でビジネス英語のテキストを買って家に帰った。

その月の給料日の金曜日、翔太は残業を終え事務所を出ると通用口で有里とばったり会った。
有里も月末の作業で残業をして終わったところだった。

「今お帰りですか?」
「うん、高崎君も?」
「はい、駅まで一緒に帰りましょう」
「ええ」
作品名:おしゃべりな男 作家名:タマ与太郎