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タマ与太郎
タマ与太郎
novelistID. 38084
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おしゃべりな男

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「あの、すみません、ちょっとよろしいですか?」

占い師は微笑みながら頷いた。

「お仕事のお悩みを抱えてらっしゃるのですね」
「あ、ええ、まあ」

本当は有里のことを聞いてみようと思った翔太だったが、
仕事の悩みもそれはそれで当たっていたので、
今回の異動に不満を持っていることを話した。

「大丈夫、きっと翔太さんでしたらまた良い仕事を掴むことが出来ますよ」
「そうでしょうか、このままでは埋もれてしまうような気がするんですが」
「心配いりません。きっと流れが変わります」

翔太はなんとなく勇気付けられたような気がした。

「ありがとうございました。少し元気が出ました」

占い師は再び微笑みながら頷いた。
翔太は料金を払い、駅に向かって歩き始めると、占い師が呼び止めた。

「翔太さん、私はお一人につき二つまでしか願いを叶えることが出来ません。
もうひとつのお悩みは、今度また」

翔太は「なぜ分かるんだろう」と不思議に思いながら小さく頷いた。

作品名:おしゃべりな男 作家名:タマ与太郎