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扉を開けたメール

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 花山は悔しい気持ちだった。
 穂高は蒼くなっていた。
「夫と息子をひき逃げされた。その報復だったというわけだ。警察に電話しろ!いい人のような顔をして、とんでもない悪女だ!」
「何よ。ひき逃げ?!」
 正子が叫んだ。
「いや、それはいつか話すよ。今は追及しないでくれ」
 穂高は困惑している。
「何ですか報復とか!わたしのお母さんじゃないかも知れないけど、あの人はいい人なんです」
 華奈は泣きながら訴えた。
「悪人は悪人だ!華奈は人生経験がないから、そういう甘いことを云うんだ」
「そうよ。最近は女も悪いのが沢山いるの。愛人になった振りして男を殺したり、
女であることが恥ずかしいくらいだわ」
 華奈が決然と云った。
「待ってください。明日、あの人に確かめてきます。どういう事情で誘拐したのか……」
「誘拐というのはね、とても悪いことなんだ。それを繰り返されたら、また泣く人が増えるんだよ」
 と、穂高。
「自分で云うのもおかしいかも知れませんけど、わたしは、可愛い子だったんでしょう。可愛いから誘拐した、ということはありませんか?」
 
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