扉を開けたメール
雨上がりの朝
「証拠って、どんな証拠なんだ!」
「背中の下の方にね、ハート型の痣があるのよ。昔は毎日一緒にお風呂に入っていて、
気になっていたの」
「そうか。云われてみると、昔見た記憶がある。俺もな、今日うちに帰ってきたとき、華奈の手首の裏側に三つのほくろを見て驚いたんだ」
「……ああ、思い出したわ。三角のほくろ」
正子が更に驚いた顔で云った。華奈は自分のそこを見た。手首と掌の境目辺りに、三つのほくろが三角形を描くように並んでいた。
「そうなんです。このほくろ、珍しいかも知れないって思ってました」
「本物の華奈なんだ。さらわれた華奈が生きていたんだ。奇跡だよ。これは確かに奇跡だ!」
穂高は眼を丸くして叫ぶように云った。
「そうですね。でも、良かった。みかまろちゃんと、敬子さんと、花山君が、協力し合って奇跡を……ってことは、敬子さんが誘拐犯じゃないか!」
花山が叫んだ。
「お好み焼き屋の女主人か!」
穂高ははっとした、という表情である。
「うそ!わたしがひき逃げされないように守ってくれたお母さんが、わたしを誘拐した筈ないでしょ!」
華奈は殆ど泣き顔だった。
「なるほど。誘拐したからこそ、華奈さんを監禁したんだ!どうして最初からそれに気付かなかったんだろう!」