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扉を開けたメール

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「木曜日。公休の日に、五人で行った」
 二日前の話だった。間島は何人かの親しい若者たちと共に行動しているらしいのだが、花山をその友人たちに会わせようとしたことはない。
「初デート、成功をお祈りします」
「鉄道博物館に行くんだ。彼女も興味があるんだって」
「共通の趣味があると、結婚した後も楽かも」
「そこまでの話はまだしないけどね。
さて、帰ってまた寝るか」
「もう?そうか、明日の朝早く、芸能人を迎えに行くんだ」
 肯定した間島はその芸能人の名前を告げてから、清算して出て行った。その芸能人は、元はアイドル歌手だった女性タレントと、俳優だった男性タレントの夫婦だった。現在はふたりともテレビのクイズ番組のレギュラー回答者としてのほか、ラジオのパーソナリティーとしても活躍していた。
 カウンターの中から、間もなく餃子とビールがきた。
「餃子、忘れてました。すみません。お勘定は今のかたから頂いてます。ビールはお詫びです」
「それはどうも。今日も美味しいラーメンでしたよ」
 そう云ってから彼が携帯電話の電源を入れると、やはりメールが届いていた。
「急いでください。わたしがこの携帯電話を持っていることがわかったら、あやさんは携帯電話会社に行って契約解除をすると思います。やっぱり警察は駄目ですか?」
「警察署へ行けば何時間も半拘束状態にされそうな気がします。捜査のためという理由で携帯電話を没収されるかも知れません。会社を休まなければならないかも知れません。
再就職したばかりの身です。どうかご容赦ください」
「わたしが閉じ込められているこの場所がわかれば、デコちゃんは救出してくれますか?
ここからは電車の音が聞こえるのです。それからよく、車がサイレンを鳴らしながら
出て行きます。すぐ傍に消防署があるように思います」
 花山は監禁されている娘がいつからそこで生活しているのかを知りたくなった。自分の名前さえわからないというのだから、かなり幼いときからということになるのだろう。北朝鮮に拉致されたとされている人々のリストに、その娘が含まれているような気もする。
作品名:扉を開けたメール 作家名:マナーモード