扉を開けたメール
「そうかい。じゃあこっちへきてくれるかな」
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だだっ広いリビングルームの革張りのソファーで、穂高は修業時代の昔話を始めた。花山はそれを聞きながら、ともみの淹れたコーヒーが意外に美味いので驚いていた。
そのあとはエレベーターで三階に上がり、それぞれの専用の部屋に案内された。
花山の部屋は蒼いカーペットと壁のログハウス風の木目がきれいで、十二畳はありそうだった。
ベッドと机があり、真新しいパソコンもある。ほかに書棚と液晶テレビがあった。
「まるで高級ホテルですね。家賃を払わないと悪いような気がします」
「家賃は傑作の焼き物で払ってもらうよ」
円柱型の母屋の隣に、立方体型の工房があった。中は広く、五人が同時にろくろを使えるようになっていた。土をこねる台も同数だった。棚には素焼きの様々なものが数多く並び、ガラスケースの中にはうわぐすりで彩られた美しい作品がこれも多数陳列されている。
「感動です。今すぐにでもチャレンジしたくなりました」
「……来年の夏頃にはろくろを使わせてやるよ」
「そうですか。朝の起床時間は?」
「明日から四時に起きてください」
「はい。わかりました」
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