扉を開けたメール
「そういうことなら、目いっぱい頑張りますよ」
「わたしも応援しないとね」
高速道路から一般道路を暫く走ると、やがて明るい色の円柱型の建物が見えてきた。その建物の周りを石造りの長い塀が囲み、それに沿って行くと門に近づいた。穂高はリモコンを操作して門を開け、敷地内に車を入れた。
「こんな家は初めて見ました」
車の外に出た花山が云った。
次いで華奈が敷石の上に立ったとき、彼女は涙を流していた。
「こんなおかしな家は厭なのかな?」
穂高はともみの傍に行くと彼女の肩に手を置いて云った。
「不思議です。なぜか涙が……」
「変わっているけど、大きくて立派な家ですね。ぼくも感動しました」
「二十年前に知り合いの建築家に頼んだら、こんなものを建てられてしまったよ」
「あっ!テレビで見たんですよ。多分、そうです」
ともみは手の甲で涙をぬぐいながら云った。穂高はともみを見てかなり驚いたような顔をした。
「随分前だけどね、テレビに取材されたことはあるよ」
中に入ってみると想像以上にきれいだと、花山は思った。玄関の床は美しい大理石が輝いていた。
「ばあさんは教室に行ってて留守なんだ。コーヒーでも淹れようか」
「お台所を教えてください。コーヒーの淹れ方、母から教わりました」