扉を開けたメール
「はい、会いに来るわ」
母と娘は泣きながら手を振り合った。車が走り出した。間もなく国道に出た。警察官が大勢いて渋滞気味の車の流れを見守っていた。
「あのときは驚きましたね」
「ああ、警察官が五人もきたからね」
オフ会のときにきた警察官たちは、年末の飲酒運転撲滅キャンペーンと、振り込め詐欺特別警戒のポスターやチラシを持ってきただけだった。花山は敬子が逮捕されると思いこみ、生きた心地がしなかった。華奈も連れて行かれるかと思った。
「華奈さんの子供手当は受け取ってますか?」
「そういうことは家内に任せてますよ」
「確か支給されるのは十八歳まででしたよね。誕生日は?」
花山は更に訊いた。
「十月ですから、もう十九歳です」
「じゃあ、わたしは来年二十歳ね」
「成人式は再来年だね。着物をつくってあげよう」
「ほんとうですか?嬉しいな。夢を見ているみたい!」
「似合うだろうね。間違いない」
そう、花山が云って振りむいた。ともみは嬉しくてたまらないといった笑顔を見せていた。
三人を乗せた車は、一時間ほど高速道路を走った。
「花山さん。頑張って仕事をおぼえて、いいものが焼けるようになったら、華奈の婿養子になってもらおうかな」
穂高は真剣な表情である。