扉を開けたメール
迎えにきてくれた穂高の車に乗り、花山が「ともちゃん」の前に着いたのは、大晦日の前日の午前十時を過ぎた頃だった。
「じゃあ、お母さん。元気でね」
ともみは泣きながら隣の敬子に云った。
「長い間、辛い想いをさせてごめんね」
敬子も泣きながら云った。
「そうだけど、まだわたしは若いわ。花山さんに感謝してます」
ともみは視線を転じて花山を凝視めた。
「最初のメールはとも……華奈さんが送ってきたんだ。自分の道を、自分で切り開いたんだよ。ごめんね。ぼくは面白がっていただけだったような気がする……」
穂高が立ち上がろうとしている。
「じゃあ、行きましょうか」
「はい。お願いします」三人が云った。そして、四人が立ち上がった。
白いセダンの後部座席にともみが入り、
助手席に花山が座った。
「時々帰ってきてね」