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扉を開けたメール

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「かなのばあば」さんがビールを持ってきた。
「アートフラワーも愉しいですよ。やってるのは女性ばかりではないんですよ」
「そうですか。きれいなものは何でも好きです。
あっ!華奈ちゃんに教えてあげてくださいよ」
「勿論です。後継者になってもらいますよ」
敬子の「愛燦々」が歌い始めだった。歌手ではないかと思う程うまい。
 途中からともみもマイクを持ち、親子でのデュオになった。歌いおわると大拍手が湧き起こった。花山はまた感動した。泣きたいような気持になった。数週間前の自分には全く想像もできなかったことが、今は確かな現実となっている。人生は、本当に不思議だった。
穂高聡介が歌いたいと云う。それを知った間島があっという間にリモコンを操作してその曲の画面を呼び出した。「北国の春」である。
 穂高が歌い終わったあとの拍手は少なかった。穂高はやや音痴だった。それでも本人は満足そうだった。陶芸は歌いながらできるようなものではないのだろうと、花山は思った。
「穂高さんいい歌でした。故郷へ帰りたくなりましたよ」
「下手な歌で面目ない」
「歌は本人が愉しかったらそれでいいんです。プロじゃないんですからね。ところで、陶芸について教えて頂けませんか?」
 
作品名:扉を開けたメール 作家名:マナーモード