扉を開けたメール
友里は揚げだし豆腐を食べてから、
「反省だけなら猿でもできるわ。やっぱ、男は自信を持たなくちゃ」
「似てるということに?……」
「違う、違う。自分は自分だって、誰にも似てなんかいないぞって……」
花山はコーンバターをスプーンですくった。それを口に入れてから笑った。
「……ちょっと、感動気味。いいこと云うじゃない」
友里の眼が優しくなった。
「好きな子いる?」
花山はともみを想った。彼女は電車でどこへ向かったのだろうか。
「……多分」
「……そう?」
「そう……多分」
「知り合ったばかり?」
「正解」
花山は笑った。
「頑張ってね。帰りますよ」
友里の主張で会計は割り勘にした。階段を下りたところであっさりと別れ、花山は自転車にまたがった。時計を見た。居酒屋で一時間余り飲んでいたらしい。
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