扉を開けたメール
「デートの経験、ゼロ!?」
「そういうことです」
花山もグラスを傾けた。
「何のために生きてるの?」
「夢を実現するためでしょうね」
「でしょうね、ということはわたしに同意してもらいたいの?」
「もうひとりの自分にでしょう」
「で、もうひとりの自分君は何だって?」
花山は飲み干した。
「好戦的ですね。酔うとどうなるんですか?」
「わたし?酔ったらこんなものじゃないかも」
「……戦後、靴下と女は強くなった、なんて云われてましたよね。だけど、それは表面的な部分です」
「本当は強くなってない?」
「口先だけ達者になっただけ」
「そうなんだ。意外。花山さんって、もっと草食系だと思ってた」
「調子に乗って日本酒の冷やを飲むか」
「へえ、見かけによらないわね」