扉を開けたメール
「どうですか?お仕事は」
「……慣れないことですから、先のことを考えると不安です」
「焦らないでマイペースでやっていれば大丈夫。しっかりして」
「はい」
「何がいいのかしら?」
カラー印刷のメニューを見ながら友里は云った。
「……」
「男でしょ。思いついたものをさっさと云いなさい」
友里は花山にメニューを見せようとはしない。
「お握りと……ポテトフライ」
「いきなりお握りなの?早く帰りたいのね」
従業員が走ってきてレモンハイをふたつ、乱暴にテーブルに置いた。
友里は五品ほど注文した。
その中に花山が云ったものは含まれていなかった。
「花山さん。彼女いない歴何年?」
友里はグラスのものをひと口飲んでから訊いた。
「二十六年ですねぇ」