扉を開けたメール
「神様?余計にわからなくなってきたわ」
「もう既に深夜です。私たちはこの辺で退散します。最終的な決断は親子で決めてください」
間島が重々しく云った。
「親子でよく話しあってください。敬子さん。ともみさんに対する長期の監禁は大変な重罪を科せられます。それを認めることだけは避けてください。ともみさん。お母さんはあなたが憎くて
監禁していたわけではなく、あなたを大切に思う余り、あなたを強く愛するがゆえに保護してくれていたのだということを、よく理解してやってください」
花山が云った。
花山と間島と敬子は、携帯電話番号を教え合った。
男たちは立ち上がって部屋から階段へ向かい、ゆっくりと下りた。
家から出たふたりを敬子が見送った。終電の時刻は過ぎていた。花山と間島は駅へ行った。数人だけの乗客の列が、タクシー乗り場にできていた。屋根に煌々と行燈を灯した車の列は、遥か彼方まで繋がっていた。