扉を開けたメール
「ともみさんは事故のあとで、生まれたんですね。そうでしたか……」
間島だった。
「お母さん。わたし、花山さんたちに云われたの。記憶喪失の家出少女になれば、これからもお母さんと一緒にいられるって……」
「そう……それは名案よ。ともみの親は絶対に現れないから、わたしの養子にすることができるわ」
「やっぱりそう思いますか?あんまり自信がなかったんですけど、うまく行くと思いますか?」
花山は真剣な顔になった。
「自信あったんじゃないの?」
「実際にやってみないと、どんなことになるか判らないからね、でも、とにかく頑張ってください。何も手助けはできませんけど……」
「やっぱりわたしの頭はどうかしてるわ。だって、ともみと花山さんたちが、どこでどう知り合ったのか、まだはっきりしないの」
「携帯メールで知り合ったのよ」
ともみは優しく云った。
「わたしね、古い人間だから、メールってどうなってるのか、まだよく解らないのよ」
「神様が引き合わせてくれたんだと、思ってください」
間島が云った。