扉を開けたメール
「花山君は安全人間だから大丈夫ですよ」
「何よそれ」
「危険人物じゃないということ」
「ふたりとも優しそう……」
ともみは明るい笑顔になり、嬉しそうに云った。
花山は自分がスーツを着ていることを、少し残念に思った。ともみが自分に親しみを感じてくれないような気がした。
「太っているって、メールを送ってきましたね。全然そんなことありませんよ」
「スイッチを切ったテレビを、鏡代わりにしてました」
「そうでしたね。ブラウン管式のテレビは球面だから、映る姿は太めに見えそうですね」
「私の場合、映すとまるで相撲取りです」
実際にかなり太っている間島がそう云ったので、花山は苦笑した。だが、ともみは反応しなかった。
「さて、ともみさん。記憶喪失って知ってますか?」
間島が訊いた。