扉を開けたメール
涙の告白
十一時十五分にお好み焼き「ともちゃん」へ行くと、店のシャッターが閉まっていた。
「うーん。予想通りだ」
間島がそう云うと、
「判ってたならどうして黙ってたんだよ」
「こういう話はそう簡単なものじゃない」
「ちょうどいいタイミングでした。こちらへどうぞ」
美容室と反対側の、横の通路から出てきて云ったのは、敬子だった。和服から洋装に着替えていた。ロングスカートが似合っている。彼女は出てきたばかりの通路に戻って行った。花山と間島も続いた。
その先に玄関ドアがあり、そこから敬子は建物の中に入った。宗山敬子は玄関で花山と間島をスリッパにはきかえさせてから二階へ案内した。ふたりともその待遇に唖然とした。
「いいんですか?二階へ行って」
男二人が異口同音に云った。階段を昇りながら、敬子は振り返って笑顔を見せた。
「遠慮しないでください」
「はい。宗山さん。とてもエレガントですよ」
前を行く間島が云った。
「いい雰囲気です」後ろの花山が云った。
階段を昇りきると両側にドアがあった。男ふたりは右側の部屋に通された。
広い部屋だった。フローリングの床だが、畳にすると八畳間ふた部屋分といったところか。応接セットがあり、三人がけのソファーに先客が座っていた。