扉を開けたメール
「勿論そうだけどね。だけど、母親が収監されてしまったら、その娘のともみさんはどうやって生きて行く?」
「国がちゃんと保護?それは期待できないか」
「ともみさんの母親の兄弟も親戚も、最初はいたわるだろうけど、じきに虐めのようなことを始めるような気がするよ。マスコミと一緒になってね」
「ともみさんは狂人の娘というレッテルを貼られるか」
「こっちは大学にもいってないけど、名案が浮かんだからね、聞いてもらいたい」
「そう、とりあえず黙って聞こう」
「そういう聞きわけの良さが国立中退なんだ。まあいいや。とにかく、現段階では娘に親は必要なんだ。特に経済的にね。昨夜のともみさんの母親はまともな感じだったよ。それは監禁を開始した当初と較べると、現在は遥かに人間的成長を遂げていることを意味する。
だから、説得すれば正常な親子として再スタートが切れそうな気がするんだ」
その先の話を花山が最後まで語り尽くしたとき、早くも時刻は午後十時になるところだった。
「じゃあ、行くぞ」
「行こう」
お好み焼き屋「ともちゃん」まで、歩いて一分という近さだった。
「こんばんは」