扉を開けたメール
「デビュー間近?思いっきりアイドルしてるじゃんその頭」
古い感覚で云えばぼさぼさ頭に近い。本人も鏡を見て必死で笑いをこらえたのである。
「正義のためさ。洗えば戻るだろ」
「もったいないね。金かけて」
「宗山さんを説得しようと思う」
「宗山さんというのか。あのひとに娘を解放しろって?」
「犯罪者なしの解決をしたいね」
「長年の監禁による自由の剥奪は罪が重いと思うよ。新潟の少女誘拐監禁事件の犯人は
懲役十四年だからね」
「そういう事件があったね」
「被害女性は小学四年生のとき誘拐されて、救出されたときは十九歳になっていた」
「しかし、その場合の犯人は変質者だったと思うよ。だから、随分違う話だ」
「ともちゃんの母も変質者じゃないと云える?」
「そうは見えないね。ともみさんは自由を奪われたこと以外の被害は受けてないし……」
「ちょっと待った!」
間島が大声を出したので周囲から注目されてしまった。
「失礼。いいかい。十数年もの間自由を奪われていた。これは相当ひどい話だろう」