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扉を開けたメール

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 鉄筋コンクリート二階建てのお好み焼き屋は駅から歩いて五分ほどだった。建ててから二十年くらいだろうか。昨夜確認を忘れた店名は何と、「お好み焼き・ともちゃん」となっていた。
花山は鳥肌立つほどのショックを覚えた。
「こんにちは。予約してないんですけど、気分転換にかっこ良くしてください」
 隣の美容院に入った花山はさりげなくそう云った。
「はい。大丈夫ですよ。六時までは予約が入ってませんからね」
 店主らしい中年の女性はそう云って笑いながらすぐに花山を鏡の前の席に案内した。
「隣のお好み焼きは人気があるみたいですね」
「そうですよ。金曜日の夜なんか、席があくのを待つ人もいるんですよ」
「昨日きてみたら、閉店時間でがっかりでした」
「日曜日は八時までですよ。火曜日がお休みですけど、普通は十時までやってます」
「こちらもそうですけど、ママさんはなかなかいい感じの、昔のお嬢様という雰囲気でした」
 美容師は大げさに笑った。
「それ、きみまろさんのギャグね。あの人は毒舌なのに嫌味がないのよね。明治座だったかしら、行ったことがあるのよ。もう、お腹が痛くなるほど笑ったわ」
「テレビでも面白いんだから、生じゃそうなるでしょうね。隣のママさんも一緒に?」
作品名:扉を開けたメール 作家名:マナーモード