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扉を開けたメール

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 電車で一時間半もかけて戻ってきた。自動改札機を通過してすぐに田川は立ち止り、
花山に向かって云った。
「今日はご苦労様。これから会社に戻ってもじきに終業時間だ。帰宅しても構わないよ」
「もう四時を過ぎてますね。じゃあ、ここで失礼します。古池部長と加島主任によろしくお伝えください」
「うん。明日からの仕事に就いても相談しておくよ」
「よろしくお願いします。お疲れ様でした」
 花山は田川と別れたあと、自動券売機が並んでいるところへ行った。あのお好み焼き屋の周辺で「聞き込み」をするつもりである。
 間島のような体形の男が二台の券売機の中間に立っている。左側の機械に硬貨を入れようとすると、
「横入りするんじゃねぇ!」
 と、怒鳴られた。横に移動して離れたところで買った。
 力士体形の男は酒に酔っていたらしかった。顔が紅潮し、少しふらついている感じだった。もしもこの世界に酒というものがなければ、酒のせいでの争いや事故は皆無になる。
そう思うものの、花山も飲むことは嫌いではない。適度になら飲むことは決して悪いことではない。
 駅構内の雑踏を歩き、混雑する電車に乗ってふた駅目で花山は下車した。
 
                  *

作品名:扉を開けたメール 作家名:マナーモード