扉を開けたメール
「危機を脱したね。取ったままだったらどうなったか判らない……」
「そうだ、メールを見てみよう!」
「それもそうだ。デコちゃんの携帯と、綾小路みかまろちゃんのと、見較べてみよう」
機械に強い間島はすぐにそれを探し出して送信済みメールを読んだ。
「これが最初のやつだ。『突然でご免なさい。お願いします。わたしを助けて!もう、何年も、この部屋に閉じ込められています。何も悪いことはしていないのに、どうしてこんなに辛い日々に、耐えなければいけないの!お願いします。一刻も早く、わたしを助けてください』……辛いだろうなぁ」
「正確な通信記録だな。一字一句間違いない」
「当たり前だよ。これが重要な報告だな。『わたしが閉じ込められているこの場所がわかれば、デコちゃんは救出してくれますか?ここからは電車の音が聞こえるのです。それからよく、車がサイレンを鳴らしながら出て行きます。すぐ傍に消防署があるように思います』
というのは、そのままだったね」
「夢に見そうだよ」
「カラオケのことも報らせてきたな。
『笑い声です。何人かが一緒に笑う声が聞こえることがあります。それと、音楽と歌声。カラオケだと思います』と、いうことは客が歌ってるところの真上に閉じ込められているんだ」