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扉を開けたメール

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「ともみという子はね、推定だけど、彼女の母親が充電をしていた美香ちゃんの携帯電話を手に入れて間島さんに電話したり、ぼくの電話にメールを送ってきたりしていたんだよ」
「美香ちゃんは携帯をどこかに置き忘れたらしい。だから今はもう使えなくしたと云ってた」
「その手続きは昨日したんだね。また使えるようにできないかな?」
「本人が携帯電話会社に連絡すれば、それは可能だと思うよ」
花山の目の前が急に明るくなった。彼は久しぶりに笑顔を取り戻せたような気がする。
「じゃあ、悪いけどそれをお願いしてよ」
「明後日逢うから、そのときに云うよ」
「と、いうことは、デートは成功だった?」
「これを見たまえ花山君」
 間島は花山の眼を凝視めながら、一升瓶を掌で叩いた。花山はグラスをふたつ洗って持ってきた。
「順調に前進しているんだね?関係ないかも知れないけど、さすが国立中退だ」
 間島は学校名は云わなかったが、どこかの国立大学を中退してタクシーの乗務員になったという変わり種だった。以前受けた職業適性検査の結果、彼の適職とされたのは最高裁判所の長官、国立大学の学長などだったらしい。
作品名:扉を開けたメール 作家名:マナーモード