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扉を開けたメール

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 あやさんはソファーの近くのコンセントに携帯電話の充電器のプラグを差して充電していたが、つい最近、新しい機種を購入すると、古い方の機種の存在を忘れてしまった。
 花山は間島がデートを終えて帰宅したら、この推理を彼に話してみようと思った。
 帰宅した花山は間島が帰るまで、パソコンの液晶画面を眺めていた。十四年も前のヒット曲を歌うアイドル歌手の画像を、恐らくVHSなどのビデオで録画したのだろう。その古い映像をネットに投稿したためか、寝ぼけたような画面を眺めながら、彼は歌を聴いていた。
 幼いともみはテレビ画面の中の歌手と一緒に、この歌を何度も歌ったに違いない。
まさかこの歌の作曲者が、著作権譲渡詐欺で逮捕されるとは、誰も思わなかっただろう。
何曲か聴いたあとで、花山は思いつくことばを入力して検索していた。そうしているうちに、中高年向けの、無料のコミュニティーサイトの存在を、彼は初めて知った。「日記」や写真、小説やエッセイなどをサイト内で公開し、それらに対して意見交換をする。また、たくさんのグループが結成されていて、宴会や旅行、釣り、登山、絵画制作といった名目で実際に顔を合わせて行動する「オフ会」というものも多い。
作品名:扉を開けたメール 作家名:マナーモード