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タマ与太郎
タマ与太郎
novelistID. 38084
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色の付かなかった夢

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それから約1ヵ月が経ち、僕もそろそろEdgeで歌うことに慣れてきた。
ある月曜日の夜、お前はいつも2杯で終わるバーボンのソーダ割を、珍しくもう一杯おかわりした。
いつもにも増してタバコの煙が朦朦とした夜だった。
ステージを終えた僕は、いつもは舞台袖の椅子で休んでいたが、思い切ってお前に話しかけてみた。

「今日は3杯目のバーボンですね」
不躾な僕の言葉にお前は怪訝そうな顔でこちらを見た。

「突然すみません。いつもありがとうございます。あなたの拍手はとても励みになります」
お前は吸いかけのタバコを手に取り、一息吸うと大きく煙を吐いた。
まるで「大きなお世話だ」と言わんばかりに。
結局お前は一言も話さず、3杯目のバーボンを飲み干して席を立った。

その日のうちに、僕はEdgeのマスターにひとつのお願いをした。
1枚だけで良いので、お前の絵を店に飾らせて欲しいと。
マスターは、店の雰囲気に合ったものなら、という条件でしぶしぶ許可してくれた。

作品名:色の付かなかった夢 作家名:タマ与太郎