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一期一会

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 十階のバルコニーからは長野市内の夜景を望むことができた。以前よりマンションが随分増えている。少し離れた場所に、大きな寺が見える。善光寺だった。
「明日は帰るだけね。雨、降るのかな」
いつの間にかすぐ傍に来ていたしのぶが云った。空を見上げると、星はひとつも見えなかった。
「雨になりそうですね」
「……疲れていたのね。ごめんなさいね」
「しのぶさんも疲れたでしょう……でも、長野に来たかったんです。願い続けているとその願いが実現するとか云いますが、本当にそうだな、と思いました」
「良かったね。次の願い事は何?」
「……今は満足してしまって、何もありませんね」
早川はそう云うと持って来ていた発泡酒を飲んだ。
「そうなのね」
今のしのぶはどんな気持ちなのかを聞いてみたい。だが、それを口に出すことはできないと早川は思った。救急車のサイレンが聞こえているほかに何も聞こえない。
「明日は日曜日ですね。ここからだと上信越自動車道から、関越自動車道ということになりますが、相当の渋滞になるでしょうね」
作品名:一期一会 作家名:マナーモード