一期一会
出会い
「お風呂で寝てたんだって?相当疲れてたのね」
「すみません。起こしに来て頂いて」
「お風呂で溺れたんじゃないかって、心配してたのよ。澤田さんご夫妻と真央ちゃんよ。ご挨拶して」
「早川です。ご心配頂いて恐縮です」
「無事でよかった」
にこやかに夫がそう云った。
「長距離の運転、大変でしたね」
妻はやや心配そうに云った。小柄で、色白な母親である。
「さえらが真央ちゃんからぬいぐるみをプレゼントされたのよ」
「これだよ」
さえらが嬉しそうに見せたのは、茶色のぬいぐるみだ。可愛らしいウサギだった。
「奥様の手作りなの」
「上手ですね。玄人裸足じゃないですか」
「このにゃんこと兄弟なの」
五歳くらいだろうか。髪の長い女の子が笑顔で云った。その猫のぬいぐるみも茶色である。