一期一会
「今日から三日間、お願いできませんか?」
「……?」
早川はまた驚いていた。
「車の運転、お願いしたいんです」
更に驚かされた。
「どういうことだか……」
「安曇野まで、お願いします」
そのときになって漸く、食事がきた。盆の上は満載で、器がはみだしている。届けたのは、年配のウエイトレスだった。
「そこは、梓川という地名なんです」
食べながら話の続きをすることになりそうだった。
「上高地から流れ出している川ですね。雪解け水だから冷たくて、五秒も手を入れていられませんよ」
「わたしが云ったのは地名ですけど、同じ名前の川があるんですね」