一期一会
「早川さんって、癒し系の人ね」
「……そう、でしょうか。昔からよく云われましたけど。男の色気を感じさせない人だってね」
「そうそう。そのとおりね。人畜無害?そんな感じ」
「あっ、呼ばれました。行ってきます」
と、早川。
慌てて走って行き、ラーメンのどんぶりをひとつづつテーブルに運んだ。四回目に割箸とこしょうと、唐辛子を持ってきた。
「憎めないキャラね。学君」
缶チューハイの酔いがそんな風に云わせたのだと、早川は思った。
「さえら、待って。太りすぎだから早川さんに少しあげようね」
しのぶはさえらの分から麺を取り出して、早川の器に移した。
「そんなこと云わないの」
さえらは抗議した。
「あたし太ってないよ」