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一期一会

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「ご両親は?」
「三年前が父で、翌年に母が亡くなりました」
「ごめんなさい。失礼でしたね……また聞きますけど、忍田さんはお仕事をされているんですか?」
「ええ。だから、妹をグループホームに預けています」
「そういうことですね。ごめんなさい」
「……タクシーは厳しいでしょうね」
「生きているのが不思議なくらいです。四時間走り続けても、誰も手をあげてくれません。
タクシーが多過ぎてまるで仕事になりません。給料前の食事代は一食二百円程度です。それで何とか餓死しないで済んでます」
「そうなんですか。でも……」
「何ですか?」
「あの和食のお店では千円以上でした」
作品名:一期一会 作家名:マナーモード