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鬼城 地球
鬼城 地球
novelistID. 15205
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L.H.B.  ~Left Hand is Black~

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 病院は午前中に検診を受け、異常なしとの事だったのですぐに外にだしてもらえた。

 僕は外の空を見ながら昨日の笛吹き男の言葉を思い返していた。

「君はソノ左手を持ってイナガラ現実の世界ニ生きると言ウノカイ?」

 僕の左手は確かに、非現実そのものだ。いろんなものを操れる所や、その左手の成り立ちも非現実。
だが、現実を否定するほど非現実は大切な物なのだろうか? 


 答えは一つ。


「……僕はなんであの時に左手の力を止めちゃったんだろう?」

 苦笑するしかなかった、伸太郎さんがいうまだ未熟者というのはこの事なんだろう。

 迷う必要なんてなかった、そう決めてたんだ。僕は、現実と非現実を生きるんだと……

「よっし、リベンジ行こう」

 そう伸太郎さんの所に行こうと電話をかけると、しばらく休んでると言うので気まぐれにブラブラすることにした。

「あ……図書館の所まできたのか」

 少し歩くと市立の図書館に来ていた、足はそのまま図書館の中へとのびていった。

「えーっと、ここら辺にあるかな……」

 僕の両腕に収まっている数冊の本は、無意識に全て【ハーメルンの笛吹き男】についての話が書いてある本を選んでいた。勿論、情報収集のため……

「やろうかな」

 まず、僕は一冊目に取りかかることにした。

 数時間後……

「ふぅ、こんなものか……」

 山積みになっている本の山々を見渡す。
ここから拾えた情報を整えてみるとやはり、有名な【ハーメルンの笛吹き男】とはいえ文献では伝説でしかない。

「でもこのシナリオ通りに事が進んだら、確実にパレードの参加者は……」

 【ハーメルンの笛吹き男】の話は、のちにグリム兄弟などによって伝承されていき有名になった、実際にドイツで起こった話とされている。
笛吹き男はネズミに困っていたハーメルンの人々のためにネズミの駆除をしたにもかかわらず報酬を貰えなかったことに腹を立て、ハーメルンの子供たち百三十人を連れ去り、笛吹き男も消えてしまったという話だった。

「だとすると、仮面の向こうはやっぱりちゃんとした生身の人間か……あの笛吹き男の本当の声を一回聞いたけど誰かに似てた……誰だっけ……」

「この世界に復讐するためさ」

僕は今一度その声を頭の中で解析してみた、すると一番頭にひっかかったのは、僕にいつも笑顔を投げかけてくるある男の顔が出てくる。

「……まさか」