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鬼城 地球
鬼城 地球
novelistID. 15205
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L.H.B.  ~Left Hand is Black~

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 約束通り、悠介と美術館へ行くことになった。
メンバーは僕と悠介と妹の神奈(かんな)の三人。

「神奈ちゃんごめんな、俺の用事に神奈ちゃんまで付き合わせちゃって」
「ううん、絵画とか見るの大好きだし……あと今回は【伝説展示会】でしょ? 凄く興味あったから」
「よかった、でも飽きたら言ってくれよ? すぐ帰るしさ」
「悠介、僕にはそれは言わないの?」
「えー? 仙ちゃんはいいよって言ったから大丈夫じゃないの?」
「そうだけど、なんで神奈には言うんだよ」
「神奈ちゃんが大好きだから」
「神奈に手をださないでくれる?」
「お兄ちゃん……」

 シスコンではないですよ、僕はシスコンではないです。
ただ、神奈を守ってあげないといけないっていう気持ちがちょっと強いだけなんです。

「【伝説展示会】っと、ここだな」
「わぁ、いっぱい絵がある!」

 美術館の特別展示室にある【伝説展示会】に来た僕らは順に見て行った。

 ローレライの絵画、ワイバーンの紋章画、ロビン・フッドの弓矢、ピエールの十字架、ハーメルンの笛吹き男の笛など絵以外にも物が展示されていて、それが本物かは疑わしかったけど展示品の隣に一つ一つ簡単な伝説の説明が書いてあり僕らはそれを全て見るのに夢中だった。

 全て見終わった頃には、もう日は傾いていた。

「面白かった! 知らない伝説がいっぱいあったね」
「うん、まさかユニコーンにあんな話があったとはね」
「俺は、ハーメルンの笛吹き男の初期グリム童話の話にびっくりしたぜ」
「悠介さん、笛のところ立ち止まってたもんね」
「そんなに気に入ったのか?」
「だってよ、あんな普通の笛に見える笛だけど子供操っちまうなんて凄いと思わないか?」

 どうやら、悠介はあの展示品を疑ってないようだった。
だから、芸術家目指せるんだな……

「くすくす、そうだね……でも、私は怖いかな」
「怖い? なんで?」
「だって、人を操るなんて怖いもん……人じゃない気がする」
「あの説明には、魔術師だったかもしれないって書いてあったね」
「魔術師か……確かに人間じゃないな」
「うん、だからああいうのはそうだったんだっていうぐらいで受け止めるのがいいんだよね」
「そうだな」

 我が妹ながら実にいいことを言ったと思う。
いや、普通に褒めただけです。

 その日僕らは、そのまま家に帰って行った。
次の日その美術館である大事件のきっかけとなる出来事が起きようとは思わずに……