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気紛れな相談屋のようです 第一話「憎悪的ラブレス」

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 玄関には収集日に出し忘れたであろうゴミ袋が数個放置されていた。玄関のすぐ脇にある台所には、いつのものかわからない、洗われていない食器の数々。そして床には本や衣服、野球のバット、箸やナイフ、包丁などが散乱している。それらを避けながら居間に向かう。
 台所と居間を仕切る引き戸を開ける。そこも台所と同じように様々な物が散乱しており、窓ガラスも割れている。穴の空いた窓からは風が吹き込んでおり、ズタズタになったカーテンがたなびいている。動く物のないこの空間において、それはなんだか異質な不気味さを感じさせた。
 小林は、このように部屋がメチャクチャになっているという事自体には既に慣れているようだが、顔は真っ青で玉のような汗を掻き、今にも倒れてしまいそうである。
 星田はと言うと、棒立ちで怯えている小林を無視して勝手に部屋を物色している。一通り部屋の中を見て回った後に、星田は小林のもとへ戻った。

「いやあ、汚い部屋ですね!」
 開口一番、星田のセリフである。確かに汚い部屋だった。汚いというか、破壊されているというべきか。
「…みんなあいつがやったんだ…!勝手に物が飛んだり、グラスが割れたり…」
 小林がガタガタと震えながら呟く。
「あいつってのは自殺しちゃった人ですか?」
「そうだよ!他にこんなことする奴が居るわけないだろ!」