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気紛れな相談屋のようです 第一話「憎悪的ラブレス」

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「ほほう!詳しく話を伺いましょうか」

 一方敵に待ち合わせ場所を告げられた男は、その場所を手帳にメモした。急いでいるためか、はたまた子供のころからの癖なのか、男の字は非常に汚かった。







 駅から少し離れた場所、イチョウの木が立ち並ぶ並木道の一角にある喫茶店。薄汚れた外観に反して、内装は落ち着いた色合いで統一され、コーヒーのいい匂いが漂っている。
 並木道を忙しない様子で歩いてくる人物が居る。先ほどの男だ。相変わらずの血走った眼に、乱れた髪。そのまま懐からナイフか何かを取り出し、通行人を斬り付けても何ら違和感がない。そんな雰囲気を醸し出している。
 手には先ほどの電話で得た待ち合わせの場所がメモしてあり、そのメモと周囲をいそいそと見比べながら、喫茶店の前で立ち止まった。喫茶店と男。見た目はどちらも薄汚れていることに変わりはないのだが、醸し出す雰囲気がまるで正反対である。その対比で、挙動以上に男は浮ついている存在に思えた。数秒間、静かに立ち止まっていたかと思うと、すぐにまた何かに怯えたようにあたりを見回し、小さく円を描きながら歩き回り始めた。