気紛れな相談屋のようです 第一話「憎悪的ラブレス」
本来なら削除されてしまいそうなこの書き込みが消されないのには理由があった。
男は息を荒げたまま、しばしその紙切れを見つめていた。その目は血走り、顔は血の気がなく青白い。流動する周囲の人々と大正敵に、男の周囲は、まるで時間が止まってしまったかのような錯覚を覚えさせた。ふと、思い出したように周囲をキョロキョロと見渡す。追い詰められた小動物のような仕草は、傍から見ればまるで不審者である。そして、いそいそと背広の内ポケットから携帯電話を取り出す。使い古された感のあるそれは、ところどころに傷がついていた。 「…」
紙切れに書かれた電話番号をプッシュする。慌てているためか、二度程間違った番号にかけてしまい、それが一層男の焦りを生む。深呼吸をした男は、今度は慎重に、間違えないように番号をプッシュしていく。
十秒程コールした後、ガチャ、という音がして、通話が開始された。
「も、もしもし!掲示板を見たんだが…」
「ああ、お客さんですね。一体どのようなご用件です?」
電話に出た声は若々しく、ともすれば子供と勘違いしてしまいそうなものだった。
「た、助けてくれ!呪われているんだ!殺されちまう!」
男は息を荒げたまま、しばしその紙切れを見つめていた。その目は血走り、顔は血の気がなく青白い。流動する周囲の人々と大正敵に、男の周囲は、まるで時間が止まってしまったかのような錯覚を覚えさせた。ふと、思い出したように周囲をキョロキョロと見渡す。追い詰められた小動物のような仕草は、傍から見ればまるで不審者である。そして、いそいそと背広の内ポケットから携帯電話を取り出す。使い古された感のあるそれは、ところどころに傷がついていた。 「…」
紙切れに書かれた電話番号をプッシュする。慌てているためか、二度程間違った番号にかけてしまい、それが一層男の焦りを生む。深呼吸をした男は、今度は慎重に、間違えないように番号をプッシュしていく。
十秒程コールした後、ガチャ、という音がして、通話が開始された。
「も、もしもし!掲示板を見たんだが…」
「ああ、お客さんですね。一体どのようなご用件です?」
電話に出た声は若々しく、ともすれば子供と勘違いしてしまいそうなものだった。
「た、助けてくれ!呪われているんだ!殺されちまう!」
作品名:気紛れな相談屋のようです 第一話「憎悪的ラブレス」 作家名:ティオ